豪雨災害をもたらす線状降水帯…県単位での発生予報始まる “わがこと感”をもって早めの対応を 静岡
観測機器の更新も進んでいます。 静岡地方気象台には2023年、上空の水蒸気量を調べる新しい機器が設置され、線状降水帯の予測に役立つと期待されています。
防災気象情報をフル活用して
気象庁・森隆志 長官 的中率は4回に1回程度。見逃しは地方単位を始めた時は3回に2回程度だったのが、2回に1回程度に減らせる見込み。線状降水帯に関する情報だけでなく、大雨警報やキキクル、段階的に発表される防災気象情報全体を活用して大雨に備えていただければ
今後も予測の精度を高め、被害軽減に取り組みたいとする気象庁。 豪雨災害が多発する中、防災気象情報への信頼と期待は高まっています。
都道府県をベースに発生予測を発表
5月28日の大雨では九州南部に加え、四国の高知と徳島、それに愛知、岐阜、静岡とあわせて8つの地域に線状降水帯の発生予測が発表されました。
これまでは全国を11のブロックに分け発表されていましたが、5月27日からは都道府県をベースにした59の地域に細かく分けられ、今回、東海地方では愛知・岐阜・静岡に発表されたわけです。 さらに、2029年にはこれを市町村単位にまで細分化していく予定となっています。 そして28日は新たな地域分けに基づく情報を受けて、県内では早めの帰宅、計画運休といった対応が取られました。
-天達さんは、都道府県ごとの発表の意義をどう捉えています? 天達武史 気象予報士: 伝える方からしても県単位の方が分かりやすく伝えやすいと感じます。大雨は「局地化」「集中化」「激甚化」しています。大雨になればなるほど局地的な降り方をして予報は難しいのですが、スーパーコンピューターのおかげでこうした予報も可能になりました。 一方で、予報が当たっても被害が発生してしまうことがあるので、もっとイメージしやすい伝え方についても考える必要性を感じています -鎌田さんはどんなことを感じます? ジャーナリスト・鎌田 靖さん: 2017年の北部九州、2018年の西日本豪雨の取材経験から線状降水帯の降り方はこれまでの日本の雨の降り方ではなく、亜熱帯の豪雨というか、とてつもない降り方、雨量となります。ですから、こうした情報を出すのは非常によいことだし、仮に予報が外れ線状降水帯が発生しなければ、それはよかったと捉えればと思う
続いて予報の精度についてみてみましょう。 線状降水帯が発生するかどうか、当初は的中が4回に1回程度でしたが、2023年は22回中9回、約40%に上がっています。 また、情報を出していないのに線状降水帯が発生した「見逃し」は3回に2回程度だったのが23回中14回で約60%と見逃すことが少なくなっています。 現状の精度としては水蒸気量の観測が難しいため、これが限界です。そのため、水蒸気量を測定するための機器の開発や観測地点を増やすなどの対応も進められています。 この精度をもって予報を疑うのではなく、信頼して早めの対策をとるように心掛けていただきたいと思います。
テレビ静岡