少子化・高額な用具…止まらぬ競技人口減、本場スキークラブの模索「門戸広げないと続かない」
冬場の冷えこみが厳しく、雪が降る長野県ではその地域特性を生かしたスケートやスキーといった冬季競技が盛んだ。専門性が高い種目のため、子どもたちの育成には地域に根差したクラブが関わってきた。ただ少子化で競技人口の減少が続く。公立中学校の部活動の地域移行が進む中、クラブの現状や指導者の思い、将来を見据えた動きを追った。(黒岩美怜) 【グラフ】スキーは10年で約3割減…長野県中学総体、参加人数の推移
3連休初日でにぎわう2月23日、東御市の湯の丸スキー場。中・上級者向けのゲレンデの一角で、地元のスキークラブ「湯の丸ジュニア」の子どもたちが次々とポールをすり抜けていく。 「うまく滑れたときが楽しい」。上田五中2年の上野里桜(13)は、息を弾ませながら話した。両親がスキーに親しんでいたため、自身も就学前から始めた。中学校にスキー部はなく、クラブで腕を磨く。 クラブには東御市や上田市、佐久市のほか、東京や埼玉など県外からも小中学生が参加。小学生約40人のおよそ半数が市外だ。下高井郡野沢温泉村で2月に行われた全国中学校スキー大会女子回転で、クラブ所属の森理葉(ことは)=東京・下里中=が優勝を果たし、クラブ関係者は喜んだ。 湯の丸ジュニアはこれまで、東御市内の小学4年生以上しか受け入れていなかった。だが、スキー離れに加え、市外からの要望を踏まえて10年ほど前から対象年齢を小学1年に引き下げ、市外からの受け入れを決めた。小林隼也主任コーチ(45)は「門戸を広げて盛り上げていかないと続かない」と危機感を語る。
県中体連によると、2014年度の県中学総体の出場者はスキーが284人、スケートは120人。23年度はスキーが3割近く減って206人、スケートは約4割減の73人だった。 親やきょうだいの影響で競技を始める選手が多いのが現状だ。県中体連スキー専門部の山口近部長(山ノ内中校長)は「単純にスキーをやりたい―と飛び込んでくる子どもが小学校段階から減っている」と嘆く。 サッカーやバスケットボールなど学校の部活動以外にクラブチームもあり、選択肢が多様化。さらに、スケートやスキーは用具が高額なこともあり、冬季競技の人口減に歯止めがかからない要因とされる。