政府の基金改革は喫緊の課題:2つの税金無駄使いの抜本的見直しを
政府の基金の見直しの方針を年内にまとめる
国民の税金の無駄使いの温床ともなる政府の基金が、近年急膨張している。基金の数は、今年3月末で180以上に上る。また2019年度に2兆円台だった基金の残高は2020年度末で8兆3千億円、2022年度末は16兆6千億円と倍増した。 2023年度には12兆7千億円に減る見込みだが、現在国会で審議中の補正予算案では、半導体産業の支援のための2兆円など、4兆3千億円が新たに基金に充てられることから、残高はさらに膨らむ可能性がある。 岸田首相は基金の具体的な見直しの方針を年内にまとめる考えを示した。岸田首相は「単年度主義からの脱却」を謳って基金の膨張を自ら促してしまった面がある。この点から、抜本改革に取り組む重い責任があるだろう。しかし、見直しを支持しながらも、今回の補正予算案に盛り込まれる4兆3千億円の基金への投入は見直さない。 いったん基金が設立されると、運営は所管する省庁や独立行政法人の裁量に任されることになる。そのため、国会による監視の目が届かず、国民の税金が安直な使い方をされるリスクが高まる。 そこで国のルールでは、基金の終了年度を、原則10年を超えない範囲で定めねばならないことになっている。しかし実際には、13府省庁による186事業のうち、約3分の1にあたる65事業は、終了年度が未定のままとなっている。
例外措置である基金の利用が常態化し国民の税金の無駄使いの温床に
これまで、補正予算などで多額の基金を計上しながら多くが執行されず、残高が積み上がっている。また、基金を単に維持するための人件費など経費ばかりがかさむケースも多い。利用されない予算は早期に国庫に返納されるべきであるが、返納額は極めて少ないのが実態だ。 また、大型基金を扱う外郭団体などが、補助金の審査といった中核業務を民間企業に委託する事例が増えていることは大いに問題だ。外郭団体に基金運営のノウハウが十分にないにも関わらず、予算計上が優先された結果ではないか。 2021年10月に岸田政権が発足して以降、基金の積極活用が強化された。それは、2021年度補正予算、2022年度当初予算、そして現在審議中の2023年度補正予算などで顕著である。 2022年度予算編成の基本方針には「単年度主義の弊害是正のため必要に応じ新たに基金を創設する等の措置を講じていく」と記され、その姿勢は2022、2023年の骨太方針でも堅持されている。