【権藤博】第3戦の東克樹の投球がチームに息吹 ソフトバンク打線の勢い止めた魂のマウンド
<日本シリーズ:DeNA11-2ソフトバンク>◇第6戦◇3日◇横浜 球団26年ぶりの日本一を、98年優勝メンバーも祝福した。チームを率いた権藤博氏(85=日刊スポーツ評論家)が思いを語った。 ◇ ◇ ◇ 横浜DeNAベイスターズのみなさん、おめでとう! 26年ぶりの日本シリーズ制覇、しっかりと目に焼きつけさせてもらいました。 ソフトバンクに挑んだシリーズ。分厚い戦力で堂々たるリーグ制覇を果たした強敵に対して、リーグ3位からの挑戦。劣勢が伝えられる中、試合を重ねるごとにチームは力を加速させました。 息吹を吹き込んだのは、第3戦に先発した東のストレート中心の投球でした。連敗で臨んだ敵地初戦。左太ももも痛め、コンディションが万全ない中、直球中心の配球で強力打線に立ち向かいました。7回まで10安打を許しながら1失点で踏ん張り、ソフトバンク打線の勢いを止めました。 「開き直り」というような、ありきたりの表現を超えた魂のマウンドでした。もともと、リーグ優勝に届かなかった時点でチームに失うものはありません。一方、リーグを代表して戦う以上、みっともない試合もできない。第1戦で始球式を務めさせてもらった際、選手やスタッフから難しい戦いに挑む戸惑いを感じたことも確かです。ぶざまな戦いはできない。東の投球には、そんな思いが込められていたように思います。 私は98年、最強メンバーによって日本一監督にしていただきました。その後、当時の主力が去り、長い低迷期に入りました。三浦監督は25年間、横浜一筋、先発一筋で勝っても、負けても黙々と投げ続けた男です。指揮官としてもそんなたくましさをこのシリーズで見せてくれました。日本一、おめでとう!(日刊スポーツ評論家)