電動化時代にクルマはどうやって作ればいい?まずはプラットフォームを軸に考えてみる
プラットフォーム共有派のBMW
100年に一度の大変革期が自動車業界に訪れている。そして各メーカーは将来BEV(バッテリー電気自動車)専売ブランドになる年を明言し、BEVのラインナップを大幅に増やしている。しかしその作り方にはメーカーによって差がある。今回はプラットフォームに注目してその「差」を考察する。 [写真で見る]高速道路で電費が良かったBMW iX xDrive50 欧州ブランドの電動化、なかでもBEVへの取り組みに関しては、車体側のコンセプトとして大別すると2つのパターンがある。ICE(内燃機関)モデルとBEVモデルのプラットフォームを共有させるパターンと、全くわけてしまうパターンだ。 なかにはモデルの大小=コストに応じて混在させるブランドもあるが、それでも明確な方向性で考えたならいずれかのグループに区分けすることは可能だ。 前者の代表格としてBMWを挙げたい。ドイツプレミアムブランドの中では最も早くに電動ブランド“ i ”を立ち上げたこともあって、その名を冠するモデルの人気は上々で、独プレミアムブランドのなかでBEVを最もよく売っているメーカーだ。 「i」そのものはもはや独立したブランドとして機能していない。けれども、早い時期にそのイメージを定着させたことが現在に生きているようにも思う。加えて「iX」というインパクトあるデザインの専用設計モデルでハイトなBEVも得意だというアピールもできた。 だからこそ、ICEと同じカタチ(≒プラットフォームを共有する)をしたBEVでアピールできる。コンサバな顧客に安心感を与えることができたこともさることながら。
独自プラットフォーム採用派のメルセデス・ベンツ
もっとも、新たな電動イメージを定着させるために、(BMW「i」の初期がそうであったように)独自のプラットフォームを用いて個性豊かなモデル群を提供し、電動専門のブランドを確立するという手法が有効であることも確か。 今、全く分けているパターン(一部に共有モデルも残すが)としてメルセデス・ベンツのEQシリーズを挙げたい。 今のところブランドにとっての“ドル箱”セグメントというべき欧州Eセグ以上のセダンやSUVにおいて、完全に電動専用設計のプラットフォームを開発、ICEモデルの同等クラスとは一線を画する車体デザインで勝負する。 一部のコンサバなユーザーからは抵抗を受けている、という事態そのものが狙いの当たった証拠。もっともすでにその効果はあったとみたのか、今後は比較的早くにデザインがもう少し穏やか路線に振り戻され、BEVとICEの車体共有化も再度進めて行くことだろう。同時にBEV一本に絞られるモデルも増えると思う。