温州ミカンの畑で、水やりをする農家（７日、和歌山県田辺市上秋津で）

　日照りと猛暑が続き、和歌山県紀南地方の農家は特産のミカンなどの畑で水やりに追われている。実に日焼けの被害が出ている所もある。 【暖冬に強い南高梅を　研究協議会が優良樹選抜、和歌山の記事はこちら】 　ＪＡ紀南の気象ロボットのデータをみると、田辺市上秋津で８月、１日から７日までの総雨量が０ミリ。７月も雨が降らない日が多く、総雨量は１０８・２ミリだった。最高気温は７月末ごろに３７度前後の日が続き、８月に入っても３３度から３７度くらいと気温の高い日が続いている。 　ＪＡ紀南によると、温州ミカンの実には日焼けの被害が出ている。程度がひどいと、商品にならなくなる。日照りが続くと、実の肥大が進まないことや、樹勢が弱るといった心配もあるという。 　特に苗木は乾燥に弱いため、ＪＡ紀南は状況を見ながら散水すること、なるべく日中に行わず、夕方以降にする方が効果的だと呼びかけている。 　共同の水くみ場には連日、軽トラックにタンクを積んで水をくみに来る農家が見られる。 　上秋津のミカン農家の男性（４６）は８月に入って水やりを始めた。山の上の畑には、軽トラックに積んだタンクに水をくんで運び、水やりするなど苦労している。 　雨が少ないと糖度が上がることが期待できる一方で、小玉になる心配があるため、通常の年よりも多めに摘果して実が大きくなるようにしている。日焼けした実は摘果で落としている。しおれたり落ちたりする葉が増えると、実に養分を送る葉が減ることで、糖度に影響しないかという心配もあるという。 　男性は「水やりをしているが、あくまで雨が降るまでのつなぎ。半日でもよいのでしとしと降ってくれれば良いのだが。早く適度な雨が降ってほしい」と切望していた。 　梅農家でも、苗木を中心に水やりを始めている人がいる。「あまり干ばつがひどいと、樹勢の低下や来年の実のなり具合への影響が心配だ」と危ぐする声もある。