「遠くない未来に取材ヘリを飛ばしたい」乗りものニュース・浦山利史社長
取材力は特殊能力
取材力って本当に、特殊能力だと考えています。セールスでトップクラスになるような人材と似たような資質かなと。誰でも取材という行為はできるはずですし、話を聞くことはできますが、誰よりも多くの、質の高い情報を取ってこられる能力を持っている人は特殊な能力なので、どんな環境になっていても強いと思います。 メディア事業に携わる場合、コンテンツを作る側にいなければならないと起業したときに思いました。コンテンツを作る側にいれば、雑誌だろうと電子書籍だろうとネットメディアであろうと、商流が変わっていったとしてもプレゼンスは保てると考えています。 今後、取材の仕方は、ハイブリッドになっていくと思います。ハイブリッドというのは、プロが主体的に作るコンテンツとユーザーが投稿するコンテンツのハイブリッドです。 乗りものニュースの場合は、ニッチですがエンゲージメントの高いユーザーさんがたくさんいるので、彼らにどんどん情報を出していただく。そこを編集側がキャッチアップすることを繰り返すことが必要になっていくと考えています。
よいコンテンツを作るためには、お金が必要
乗りものニュースは、マニアックなメディアだと思われがちですが、交通インフラ情報というのはすごく大きなパイなんです。首都圏だけで3500万人くらいの人が住んでいて、ほとんどが鉄道、バス、自動車に当たり前に触れています。 ただ、いまのアドテク(ネットの広告自動配信技術)だけで一定以上の売上にしていくのは難しい。自分はコンテンツが大好きで、そこで勝負していきたい。他社よりよいコンテンツを作っていくためには、原資が当然必要です。 そこの原資を生み出すために、サービスの多様化をしていきたい。そこで出た収益はすべてコンテンツに再投資していくという考え方です。 サービスを中心とした場合、メディアは質の高いコンテンツの量を維持しつつ、サービスのファンを作るようなイメージです。ファンになっていただいて、ほかのサービスも使っていただくという思考です。質の高いコンテンツとは、ファクトに間違いがなくて、正しいタイミングで出せるものというのをうちの会社の定義にしています。ユーザーが欲している情報をただ適切に正しく伝えていくことを考えて日々業務にあたっています。 乗りものニュースに関していうと、専門知識がうちにはあるので、そこでいかに膨らませていけるかを強みにしたい。そこはスモールメディアというかターゲットメディアを立ち上げた一番の要因です。