馬毛島自衛隊基地 整備遅れ工期3年延長 工事阻む波や風、資機材足りず宿舎建設も遅延 西之表市長も影響の長期化危ぐ
米軍空母艦載機陸上離着陸訓練(FCLP)移転を伴う鹿児島県西之表市馬毛島の自衛隊基地整備で、防衛省は10日、施設全体の完成時期を当初計画より約3年延期し2030年3月末になると発表した。波の高さや能登半島地震の影響による人手と資機材不足などが理由。FCLPは28年1月以降になる見込み。 【写真】〈関連〉馬毛島のどこにどんな施設が計画されているのか。図解で見る
防衛省は10日午前、種子島の1市2町と鹿児島県庁を訪れ工期延長を伝えた。八板俊輔市長は「市民生活への影響が長引くことが危惧される。不安の声に耳を傾けたい」。塩田康一知事は「十分かつ丁寧な情報提供を国に求めた」とコメントした。 基地本体は23年1月に着工、4年程度で完成する計画だった。同省は現場の状況を精査し、滑走路など飛行場施設の工程を約3年延長。飛行場関連施設や港湾施設も2~4年遅れる。 FCLPに必要な滑走路の建設は27年に終了する見通し。関係者によると、米側が工事を急ぐよう求める状況ではないという。 同省によると、波や風で重機などを運ぶ船が出せない日が多く、1カ月当たりの輸送は予定の3分の1程度だった。能登半島地震の被災地に人員や資機材が送られたことも影響し、馬毛島の仮設宿舎建設が遅延。24年2月時点で島内の工事関係者は4000人と見通していたが、8月末になっても仮設宿舎は2290室にとどまる。
人手が不足する一方、島内は土地を平らにするための盛り土に使えない粘土質の土が想定より多く作業量が増えた。 基地整備に伴い、種子島では家賃高騰や地場産業の人手不足といった住民生活への影響が出ている。同省整備計画局は「地元への影響が最小限になるように自治体と連携して対応する」としている。
南日本新聞 | 鹿児島