結成45周年&平均年齢67歳! 12人編成のビッグバンドを率いる吾妻光良がじみじみ語る音楽、バンド、酒、ちょっぴり健康!「65歳を過ぎて、自分がこんなに子どもだとは思わなかった(笑)」
吾妻 お酒を飲むといい感じになれるというか、演奏するために飲まなきゃいけないし、飲むために演奏するところもありますね。35年前ぐらいかな? バンドのベースのやつと「人生は縦・横・高さの三次元じゃなくて、縦・横・高さ・酒の量の四次元なんだ! 酒の量が違うと、違う空間に生きていることになる!」なんて話したこともありました(笑)。 ──若さと酒の勢いに乗って、そういう話になることはありそうですよね(笑)。 吾妻 でもね、今もそんなに変わんないんです。65歳を過ぎて、自分がこんなに子どもだとは思わなかった(笑)。もっとちゃんとしたほうがいいよね。あははは。 ──年齢を顧みて、酒のこと以外でもご自身の健康で気づかっていることは? 吾妻 週1で酒を抜く以外は、毎日8000歩をメドに散歩してるのと毎朝家でやるラジオ体操ぐらいかな。タバコも2010年に値上がりしたとき、バカらしくなってやめたしね。タバコやめたから、声は前より良くなってる感じがしますよ。ライブでも、あんまり衰えは感じない。ギターはちょっと下手になってるかもね。昔のほうが早く指が動くから。......とまぁ、そんな感じですかね。たまに段差も何もないところでつまずくと、なんとなく年齢は感じるけど(笑)。 ──吾妻さんはミュージシャンとして活動する一方、長年、会社勤めをし続けてきたとか。今回のアルバムは定年退職されてから制作した初のアルバムでもあるんですよね。 吾妻 僕はメディア関係の会社でずっと働いていて、2022年の夏に退職しました。退職の挨拶状を300人ぐらいに送ったんだけど、「退職後は、学生の頃からの夢だったプロのミュージシャンになることとなりました(笑)」って、冗談めかして書いたりしました。 ──ほかのメンバーも結成以来ずっと職を持ち、現在、その全員が定年退職されたとか。そんなベテランバンドは日本になかなかいないですよね。吾妻さんご自身、会社を辞めて音楽活動は変わりました? 吾妻 フルバンド以外に、ソロやトリオでのライブの本数も明らかに増えました。会社に勤めていた頃は土日祝日だけライブだったけど、今は平日でも呼ばれたらライブができますから。後輩に呼んでもらうライブも楽しいし、ブルース業界の諸先輩方に呼んでもらったライブも楽しいです。特に先輩に呼んでもらったライブはじじいばっかりで、じじいの中で俺が一番年下っていう楽しさがある(笑)。 ──ブルースの世界ってロックなどに比べ、圧倒的にベテランの方が多いですもんね。ちなみに会社勤めとバンドの両立の裏側には、見えない苦労もあったんじゃないかと思います。 吾妻 うーん。会社での苦労は普通にあったけど、バンドは正直ないですね。仕事でどんなつらいことがあっても、ライブがあるからたくさん救われた。そう考えると、二足の草鞋(わらじ)で続けてきて良かったと思います。会社勤めで収入が安定しているぶん、変に売れることを狙った音楽を作る必要がなくて、本当に好きな音楽、自分がやりたい音楽だけやってこれましたし。 ──45年も同じバンドを続けてこられた秘訣なんてあるんですか?