リアル「下克上球児」84歳監督“最後のYouTube” 高校野球の“名将”逝く 迫田穆成監督
高校野球の監督を鈴木亮平さんが演じる日曜劇場『下剋上球児』(TBS系)が人気だ。弱小チームが勝ちあがっていく王道のストーリーだが、それを体現したような監督が12月、84年の生涯を閉じた。その最後の肉声を12月5日、RKBラジオ『田畑竜介Grooooow Up』に出演した神戸金史解説委員長が伝えた。 【写真で見る】迫田監督 生涯最後のYouTube(11月5日更新)
高校野球で「名将」と称えられ
TBSのドラマ、日曜劇場『下克上球児』を毎週楽しみに見ています。高校野球の弱いチームが勝っていく、王道のストーリーなんですが、それをまさに体現したような監督がいます。広島県立竹原高校で野球部の監督を務めていた迫田穆成(さこだ・よしあき)さんです。 その迫田さんについて書かれた本『83歳、最後のマジック 生涯野球監督 迫田穆成』(ベースボールマガジン社、税別1800円)を紹介しようと思い、迫田さんの近況を確認したら、12月1日にすい臓がんのため亡くなっていて、本当に驚きました。 迫田さんは、広島商業高校で主将として甲子園全国制覇、それから監督としても全国制覇を果たしています。その後、1993年には三原工業高校(現・如水館高校)の監督に就任、8回も甲子園に出場。生涯で14度の甲子園出場を果たしています。
孫世代に伝えるYouTube
迫田監督は、孫と同じ世代の選手たちに指導していく中で、YouTube「迫田監督野球チャンネル」を開設して動画を出していました。11月5日が最後の更新でした。秋の広島県南部地区1年生大会で竹原高校が優勝しました。迫田さんは体調を壊したようで、直接指揮はできなかったのですが、指導方法を熱く語っていて、「次は甲子園に出られるようなチームにしたい」と話していました。 Youtube迫田監督野球チャンネル「1年生大会やったー」(11月5日更新) 迫田監督:はーい、こんばんは。お久しゅうございます。ちょっと体調崩しとるけ、こんな格好しとるんですが。 私の野球は、「点をやらない野球」なんです。どういうことかと言いますと、「全国からいい選手を集めてガンガン打たすんだ」「ピッチャーもおるんです、大丈夫です」、そんなことじゃなくして、好きな人を集めて、そして何とか鍛えて、で勝ちます、と。 「なるべくなら、後攻を取りなさい」と。後攻を取る理由は、1回表を0にすれば、その裏を3三振であろうと、判定負けはないんですよね。だから、「2回も0でええよ、3三振でええよ」「3回もそうでええよ」と。相手が段々とムードの中へ入ってくれるんですかね。そういう中で、少しの点でもって勝つような野球を目標としとるんです。 これが、亡くなる1か月弱前です。まだ元気にお話されていました。