スタッフを電話で呼びつける姿はまるで“上司”…超高級シニアマンションで幅を利かせる理事会メンバーらが自画自賛する“施設への貢献度”
事あるごとにスタッフに電話をかけ…
熱海レジデンスは全165戸、約180名の居住者がいる。平均年齢は82歳。先日まで101歳というご高齢の方もいたそうだが、既にグループの系列施設に転居したという。最も若い人は56歳だが、常にここに住んでいるわけではないそうだ。別荘のように利用する、いわゆる非常住者である。常住者の最少年齢は70歳くらいだという。 居住者は女性のほうが多く、その中でも独身者が多い。ある居住者は「やっぱり女性のほうが平均寿命が長いですからね。二人で入ってきても男のほうが先に死ぬんですよ」と話す。いずれも取材当時の数字だが、今もそれほど大きくは変わっていないだろう。 「共用部分の面積はね……」 細かく施設の説明をしてくれる徳川さんが、言葉に詰まった。共用部と居室の専有部がどのくらいの割合かを教えてくれようとしていたときだった。すると徳川さんはスマートフォンを取り出して、どこかに電話をかけ始めた。 「調べたらまた教えてください」 施設の責任者へ正確な割合を問い合わせてくれたのだ。上司が部下に「正確な数字をすぐに調べて報告しなさい」と命令するような姿と重なった。その施設の責任者によれば、共用部分の面積は37%。残りは居住者の占有部分だそうだ。 各居室に緊急コールや人の動きがないと反応するチェックセンサーなどが完備されているのは、どの施設も同じだ。ハードの面では、これまで取材してきた高級老人ホームとさほど変わりはない。 こうして一通り施設の概要は理解できた。すると再び徳川さんが、室内の温度を調整しに来てほしいとスタッフに電話をかけ始めたのだ。万全の環境で取材に臨もうという意気込みか、それとも単に面倒な高齢者なのか。 スタッフから、要求の多い居住者だと思われていないかと心配にもなった。