EU発!! iPhone【App Store以外】でのアプリ販売解禁のメリット&デメリット
――ユーザーと企業、どちらもメリットしかないし! デメリットとしてはどのような懸念点があるのでしょうか? 法林 Appleが主張するのはセキュリティ問題です。サイドローディングを認めることで個人情報を危険にさらすようなアプリが増え、セキュリティ面でユーザーにとってリスクが大きいと長年主張してきました。 EUの件では「サイドローディングで提供されるアプリもAppleが審査を行なう」という内容に落ち着き、この審査で数%の手数料を徴収することになります。 そして、Apple視点での最大のデメリットとなるのが〝Appleの収益減〟です。これまでの最大で30%という手数料ビジネスが成り立たなくなる可能性があり、これもサイドローディングを認めてこなかった要因のひとつでしょう。 ――これはユーザー目線だと、Appleが端末代金に減収分を上乗せさえしなければ、サイドローディングは容認ですね。ではiPhoneのライバルである、GoogleのAndroid陣営のアプリストア事情はどうなっているのですか? 法林 Androidに関してはスマホメーカー各社やアマゾンのアプリストア、近年ではNetflixもゲームの配信をスタートしています。つまりGoogleの独占的なストアビジネスとはなっていません。ただ、日本国内ではiPhoneユーザーが多く、そのような事情はあまり知られていないのが現状です。 ――ところで、App StoreのサイドローディングはEU以外でも行なわれる可能性はあるのでしょうか? 法林 大いにあります。特に日本ではここ数年、公正取引委員会とデジタル庁がApp Storeの手数料、アプリストアの独占について問題視しており、今年中にもサイドローディングを義務づける法案が提出される予定です。 日本の場合は、AppleやGoogleのアプリストアにアプリベンダーである企業が依存することで、ストアに〝仕様変更〟があった場合、企業側の開発コストの負担が大きく増えることなども問題視されています。 このような法整備に関してはApple、Googleの本国であるアメリカよりも、EUや日本のほうが先行しているのが現状です。 ――ユーザーにとってお得要素が増えるならサイドローディングは大歓迎ですけど、今年登場予定の新型iPhoneの値上げだけは勘弁してください! 取材・文/直井裕太