南海キャンディーズ20周年、しずちゃんが考える芸人像「向いてなくてもいい」 賞レースについても言及
■ ボクシングを通して気付いた「将来の不安が大きく」
──かつては身体の大きさがコンプレックスで、お笑いとして楽しんでもらえるようになってからそれが解消されたとおっしゃっていますね。しずちゃんの表現は「身体性」がポイントなのかも? 自然や野生動物に憧れるんです。ネタで「火を怖がるサイ」を演じたりもしていますが、モノに頼らず自分の身体を頼りに生きる姿に憧れがあるんです。あと私自身、地球に接していたいという願望もあって。 ──どういうことですか。 仕事で船に乗ったりすると、海のうえにいることで「普段よりも地球に触れているな」ってなるんです。あと、身体のなかでも足の小指とかって全然使わないじゃないですか。人間の小指はきっと「ほんまはこんなはずじゃなかったのにな」と考えてるんちゃうかなと思って、足の小指の使い道を考えています。そうやって身体でいろいろ表現したいんです。本能でなんでも動くタイプなんで。 ──自著でも「飽きっぽい」とおっしゃっていましたが、ボクシングが長く続いた理由も「身体を使う」というところからなんじゃないかと。 好奇心が強いからいろんなことに手を出して、でもどれもすぐやめてきたので、ボクシングが長く続いたのは自分でも驚きました。南海キャンディーズの前でいうと、最初のコンビはちょっと続いたけど、次のコンビはすぐに無理かなと、そんなときに山ちゃんが現れて。でも「絶対にこの世界で生きていく」という気持ちは最初が一番強かったし、南海キャンディーズとして活動するようになってからも、自分が芸人である必要性は感じていませんでした。でもボクシングをやり始めてしばらく経って、『南海キャンディーズであり続けること』の大事さに気付きましたね。 ──それはなぜですか。 デビューしてから早い時期から幸運にもお仕事をたくさんいただけたので、仕事がない時期を知らなかったんです。でもボクシングに専念するようになり、劇場に立ってはいたけどその割合も減って。目標だったロンドンオリンピック(2012年)出場も叶わず、次に向けてやっていたけど将来の不安が大きくなって。お仕事もどんどん減っていったとき「お仕事をもらえることって普通じゃないんや」とようやく気づいたんです。 ──不安な時期があったんですね。 そのときに、「山ちゃんが横にいてくれるのって大きいことなんやな」って。私がボクシングに専念していたときも山ちゃんが南海キャンディーズを守っていてくれたし、なにより周りのみなさんが私を芸人でいさせてくれたから。