小林虎之介“岳人”にニヤニヤが止まらない…窪田正孝に負けない”主人公力”とは? NHKドラマ『宙わたる教室』考察レビュー
現在放送中のNHKドラマ『宙わたる教室』。窪田正孝演じる東新宿高校定時制に務める理科教師・藤竹叶と生徒たちとの交流を描いた学園ドラマだ。個性的な生徒が多く登場する本作において、一際光を放っている柳田岳人役の小林虎之介の演技について語りたい。(文・望月悠木)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】 【写真】思わずにやけるほど可愛い…小林虎之介の貴重な未公開写真はこちら。ドラマ『宙わたる教室』劇中カット一覧
板につく不器用な不良生徒役
『宙わたる教室』の主人公は、教師の藤竹(窪田正孝)であり、藤竹の過去や、生徒との交流を軸としているが、生徒である柳田岳人(小林虎之介)がストーリーの起点となり、主人公と錯覚する瞬間も珍しくない。岳人中心でシーンが展開されると、知らず知らずのうちに筆者の中で期待感が高まっていくのを感じるのだ。 例えば、第2話では全日制の生徒からペンケースを盗んだ疑いをかけられる定時制の2年生・池本マリ(山﨑七海)を庇ったために越川アンジェラ(ガウ)が退学の危機に陥る。この時、岳人はアンジェラを助けるために、単身、昼間の学校に乗り込む。 中庭で全校生徒に聞こえるように「もしこん中にいるんだったらさっさと白状しろ」「こんなくだらねぇことのせいでな、こっちは退学になりそうなやつがいるんだよ」と吠えながら犯人探しをする姿は余りに熱い。 この令和の時代に不器用ながら仲間のために“特攻”する不良生徒の姿が見られたことに、妙な安心感を高揚感を覚えた。
過去を想像したくなる小林虎之介の演技
第6話での、コンピューター部の部長・丹羽要(南出凌嘉)と丹羽の自宅で話すシーンもクールで良い。丹波の弟は、両親の離婚をキッカケに精神的に不安定な状態で、感情が昂って家具を壊すこともしばしば。 そのことを丹羽から聞かされた岳人は「親を殴るっつうのはな、そう簡単にできることじゃねぇんだよ」「そんなことしちまったら相手だけじゃなくてきっと自分まで壊れちまう。だから自分守るためにも代わりに物をぶっ壊すんだ」「家の中をめちゃくちゃにすんのはさ、誰かを傷つけたいんじゃない、きっとその逆だ」と弟の気持ちを察した。 2話で見せた暑苦しい優しさとは対照的に、ここでは落ち着いたトーンで、目の前の丹羽だけでなく弟にまで寄り添う。自身も荒れた過去を持ち、弟の気持ちが分かる岳人だからこそのセリフである。 岳人の過去の葛藤を想像させるに余りあるその表情と話し方に、強く心を打たれた場面だ。