小さな巨人にひれ伏す「スズキ ジムニー」究極のMPV
年初にマイナーチェンジされ、さらに磨きがかかったスズキジムニー。「そう言っても軽自動車でしょ?」と高を括って試乗に臨んだ筆者は、走り出してすぐにそれはとんだ認識違いであったことを思い知らされた。
これまで筆者は、各メーカーの「軽自動車」はそれなりに試乗してチェックしていた。「軽自動車」は、日本独特のジャンルであり、明確に決められた規格の上限で各社しのぎを削っている差別化の難しいカテゴリーだ。そのため、個人的には見分けが難しい上に「軽自動車」は総じてブレーキがプアである印象があって積極的に購入する気にならないカテゴリーでもある。
すべてが規格外
ボディサイズとエンジンは軽自動車の枠の上限であるため文句のつけようがないが、それ以外のすべては平均的な軽自動車とは完全に異なっている。ボディ剛性、ブレーキ性能、インテリアの質感については乗用車のレベルだ。ハンドルをはじめ、あらゆるパーツが乗用車レベルになっている(共有されている)、何よりシートの出来の良さにはびっくりした。15分も乗ると腰が痛くなるシートはいまだにたくさんあるが、ジムニーのシートは2時間連続運転しても苦にならなかった。同乗者も同じ意見だったので個人的な感覚ではないと言えよう。
ハンドル剛性も高く、通常は後輪駆動(!)ということもありコーナリングも楽しめるほどだ。これらは、ジムニー独自の構造によるもので、ラダーフレーム、リジッドアクスル式サスペンション、ボディ構造によってもたらされるが、それにより、自ずと車重が重くなる。スズキ ハスラーより150kg以上も重いのだ。しかし、この車重の重さが安定性につながっているとも言えるのではないだろうか。
ジムニー最大の特徴である伝統のラダーフレームには、JB64型でエックスメンバーと、前後にクロスメンバーが追加され、ねじり剛性が高まっている。また、ボディとラダーフレームをつなぐボディーマウントゴムは、上下方向に柔らかくすることで乗り心地を良くし、水平方向に硬くすることで操縦安定性を高めている。
主要諸元 ・全長:3,395mm ・全幅:1,475mm ・全高:1,725mm ・トレッド:1,265mm(F)、1,275mm(R) ・ホイールベース:2,250mm ・ブレーキ:ディスク(F)、ドラム(R) ・定員:4名 ・車重:1,040kg(MT)、1,050kg(AT)