【レスリング】慶大レスラー尾崎野乃香「全く考えていない」28年ロス五輪挑戦階級は今後も熟考
◇レスリング全日本選手権第2日(2024年12月20日 東京・国立代々木競技場第二体育館) 女子フリースタイル62キロ級は、今夏のパリ五輪同68キロ級で銅メダルを獲得した尾崎野乃香(慶大)が2大会連続4度目の優勝を果たした。尾崎はパリ五輪以来約4カ月ぶりの復帰戦。今大会に出場した唯一のパリ五輪代表でもあり、銅メダリストの意地を見せた。 山場と見られた準決勝では社会人王者の榎本を4―0で破ると、インターハイ王者との決勝では、相手に何もさせずにテクニカルスペリオリティー勝ち。鮮やかなエメラルドグリーンのシングレット姿で、「24年を優勝で締めくくれたのは良かった」と笑みを浮かべた。 本来の62キロ級でのパリ五輪への道が断たれたのは昨年9月。唯一代表が決まっていなかった68キロ級での再挑戦を決意すると、実質2カ月の準備期間で昨年の同大会の68キロ級を制すと、今年1月のプレーオフで石井亜海を破って代表入り。本番でも銅メダルを獲得したが、目標としていた金メダルを逃し、悔し涙を流した。 帰国後は2カ月間、完全休養。「何もやっていない。ジムにも行かなかった。意外と(練習を)しないんだな、私と思っていた」とレスリング人生で最も長い休養を取った。その間に急ピッチで付けた筋肉はそげ落ち、体重は五輪前から8キロ落ちた。10月に練習を再開し、今大会の出場も視野に調整。体重も増えることはなかったため、現状の適正体重と言える62キロ級での出場を決めた。 しかし今後については「まだ4年後(のロサンゼルス五輪で)62キロでやるとは全く考えていない」と白紙を強調する。フィジカルと技術や戦術の適性、国内や海外のライバルの状況を見極めながら階級を選択できるのは、68キロ級でパリに挑戦した副産物とも言える。ロス五輪の選考レースが本格的に始まるのは2年後の26年12月。それまでじっくりと、五輪表彰台の頂点への道を見極める考えだ。 現在は慶大環境情報学部4年。五輪まではレスリング中心の生活で授業も休みがちだったため、現在は「学校は凄く頑張っている。何も(理由が)ない限り絶対に休まない」と勉学にも励んでいる。卒業は半年遅らせ来年9月の予定だが、来たる卒論執筆に向けて「来月から書きます」と次なる山場を見据えた。