【ライブレポート】Aぇ! group初のアリーナツアー完走!2ndシングル「Gotta Be」も初披露
■「この5人でずっと一緒にいられたら、でっかい景色を見に行けると思ってるから、俺たちに着いてきてください。デビューさせてくれてありがとう」(佐野晶哉) デビューシングル「《A》BEGINNING」を引っさげ、『Aぇ! group Debut Tour ~世界で1番AぇLIVE~』を開催したAぇ! group。全国8都市32公演で約37万人を動員した初のアリーナツアーが、8月18日に行われた東京・有明アリーナ公演でファイナルを迎えた。 ファンによる“Aぇ”コールが広がる会場が暗転すると、サイレンの音が鳴り響き、メンバーたちが逃げ惑う映像が映し出される。そして、追手から逃げるため、正門良規がライターを投げ入れたその瞬間、映像に広がる炎とリンクするようにステージに火花が上がり、Aぇ! group初のオリジナル曲「Firebird」で開幕。 「行くぞ、ファイナル! 騒げ、東京~!」という末澤誠也の言葉に会場の熱も上がる。割れんばかりの歓声を味方につけ、5人は全身全霊のハードなパフォーマンスを見せた。 そして、軽やかなダンスチューン「WANT!!」や、タワーに乗ってファンと目を合わせ、一緒に踊るポップな「+You」、ロカボ曲のような疾走感をもつ「純情パスファインダー」、セクシーなパフォーマンスで客席を沸かせた「Party-Aholic」など、次々とカラーの違う楽曲を披露し、個性豊かなダンスパフォーマンスやグループの音楽性の広さを見せつけた。 一転、夢のテーマパークをイメージにした「Aぇ! LAND」コーナーでは、メンバーがキャストに扮し、Aぇ! groupらしい楽しい時間へ観客をいざなった。末澤と佐野晶哉がパンダ姿でかわいく踊る「パンぱんだ」では、ギターを持った正門が加わると“パンクパンぱんだ”に様変わり。3人は、弾けた姿を見せる。 さらに、草間リチャード敬太のポップスターのような巧みなダンスから「ブリュレ」へ。しかし、リチャードはことごとく正門と佐野に邪魔をされ、「誰の判断なのか」と詰め寄る。と…その犯人、幼稚園児の“けんちゃん”(小島)が登場。小島らしい笑いのセンスとトークで、観客とメンバーを独特な世界に巻き込んでいった。 同コーナー最後の「愛してるっ言わNight」では、ナイト(騎士)の衣装で踊る佐野をメンバーがペンライトを振って盛り上げる。この曲は、Aぇ! group YouTube大喜利企画で「10枚目のシングルタイトル」とのお題に、小島が回答した「佐野晶哉ソロ曲『愛してるって言わNight』」を2年越しに実現したもの。Aぇらしい壮大な遊びに、客席にも笑顔が広がった。 TikTokチャレンジの話で盛り上がったMCの後は、「ストーりぃ!」のアコースティックバージョンを披露。末澤と正門がギターを、小島が鍵盤、リチャードがサックス、佐野がカホンを担当し、温かな歌声で聞かせる5人のハーモニーに、ファンも静かに耳を傾けた。 ライブ後半は、ツアーで回った8都市(北海道・宮城・東京・静岡・福岡・愛知・福井・大阪)をメンバーとファンが旅するように、車のデザインのトロッコで会場を巡りながら、各地のイメージに合う関西の先輩グループの楽曲を歌いつないでいく。福岡の「キンゴ オブ 男!」では、佐野がおさげ姿で扮するファンにおなじみのキャラクター“よし子”も登場し、会場を沸かせた。 ますますボルテージが上がり続けるライブ終盤、鏡に囲まれた空間に迷い込んだ5人の映像が映し出される。一見、出口が閉ざされているようにも見えるが、そこへ希望を感じる光が差し込む。そして、満を持してデビュー曲「《A》BEGINNING」をパフォーマンス。 真っ赤な衣装を身にまとった5人が、ステージからせり上がると、Aのモチーフをかたどったライトを背に、ギラギラと圧倒的なエネルギーを放つ。炎の特攻や激しく行き交うレーザーに照らされながら、奥底から湧き上がる強さを感じるパフォーマンスと魂を込めた歌で会場を圧倒した。 一瞬の静寂のあと、ステージに置かれたベースをリチャードがさっと抱え、数ヵ月前に始めたとは思えないグルーヴィーなソロを聞かせる。その音にメンバーの楽器が重なり、バンドコーナーへ。「神様のバカヤロー」「Break through」など熱いロックに続き、Aぇ! groupのターニングポイントとも言える「PRIDE」を披露。グループの武器のひとつでもある末澤の超ハイトーン、そしてツアー中にも進化し続けたバンドサウンドに呼応するように、会場のペンライトが大きく揺れた。 そして、メンバーがひとりずつ、今の思いを言葉にしていく。「5人でいる空間が大好きで、5人で作るライブが大好きで…。朝ホテルから眠そうに出てきて、エレベーターに乗ってる時間すら愛おしくて。この5人でずっと一緒にいられたら、でっかい景色を見に行けると思ってるから、俺たちに着いてきてください。デビューさせてくれてありがとう」と会場に語りかける佐野。 末澤が、このツアーを通じて「いろんなところで応援してくれてるファンのみんなの声を聞けて、顔を見られて、ものすごく幸せでした。またやろうね、楽しいこと!」と呼びかけると会場から歓声が上がった。 5人がラストソングに選んだのは、デビュー発表直後に京セラドーム大阪でも歌った小島作詞、佐野作曲の「ボクブルース」。ときには不安を感じながらも自分たちを信じて進み続け、デビューという夢を掴み取ったAぇ! groupの軌跡と重なる歌詞に、じっくり聴き入る観客。メンバーがまっすぐな目で会場を見渡し、思いを届けようと歌う姿も印象的だった。 客席の熱いコールに応えて登場したアンコールでは、突然、ビジョンに5人の幼少期の写真が映し出され、会場がざわつく。そして、2ndシングルのタイトル「Gotta Be」(ガラビー)の文字とともに、悲鳴にも似た大きな歓声が上がった。疾走感のある激しいロックサウンドにのった美しいメロディライン、そして、決して平坦ではないデビューまでの道のりで、様々な壁を乗り越えてきたAぇが歌うからこそ説得力を増す歌詞。彼らの熱い言葉が、観客の心を揺るがした。 小島考案の副題「世界で1番AぇLIVE」には、1回1回の公演が“世界でいちばんえぇLIVEだった!”と思ってもらえるように、との想いが込められている。これまでのAぇ! groupを詰め込み、ファンに笑顔と幸せな時間を届けたツアーは、まさに副題の想いを体現していた。
THE FIRST TIMES編集部