【Playback箱根駅伝】第87回/早大が18年ぶりの栄冠で3冠達成!東洋大と21秒差決着 1区・大迫傑が独走区間賞、國學院大4年ぶり出場で初シード
2024年に箱根駅伝は第100回大会を迎える。記念すべき100回に向けて、これまでの歴史を改めて振り返る『Playback箱根駅伝』を企画。第1回大会から第99回大会まで、大会の様子を刻んでいく。(所属などは当時のもの) 第87回箱根駅伝の総合成績&区間賞一覧をチェック!
第87回(2011年/平成23年)早大が18年ぶり頂点!出雲、全日本と3冠達成
3連覇を狙う東洋大と、出雲・全日本の両駅伝を制して3冠を狙う早大が“2強”とされ、それを駒大、日体大、明大らが追う構図。10月の予選会では前回出場校の大東大、法大、亜細亜大が敗退した一方で、國學院大が4年ぶり、拓大と神奈川大が2年ぶりに本戦に返り咲いた。 1区は1km過ぎに早大・大迫傑(1年)が抜け出し、日大・堂本尚寛(3年)だけが追走する展開。3位以下はスローペースで牽制し合い、みるみるうちに差が開いていった。大迫は11.5kmで堂本を引き離すと完全に独走状態となり、2位の堂本に54秒差をつけて区間賞を獲得。堂本から約1分遅れで駒大、日体大、中央学大と続いた。 各校のエースたちが快走を見せた2区。特に光ったのが東海大・村澤明伸(2年)だ。最下位(20位)でタスキを受け取ると、中間地点までに16人を抜いて4位に浮上。そこからは拓大のジョン・マイナ(1年)としばらく併走したものの、振り切って17人抜きを達成した。明大の鎧坂哲也も15位から11人抜き、青学大の出岐雄大(2年)も16位から5位まで順位を上げ、マイナは終盤に失速したものの、17位から7位まで順位を上げる力走を見せた。 続く3区では山梨学大のオンディバ・コスマス(3年)が区間トップの快走で15位から4位に浮上。4区では帝京大の西村知修(4年)が区間新記録の走りで15位から8位に押し上げた。その一方で、上位争いは早大が2区以降も首位を独走し、4区終了時で東海大が2位、東洋大が3位、明大が4位、駒大が5位、日体大が6位と実力校が順位を上げていった。 早大の5区・猪俣英希(4年)は悠々と山を駆け上がっていったが、この年も東洋大・柏原竜二(3年)が「山の神」の異名にふさわしい走りを見せた。タスキを受け取った時点で先頭とは2分54秒差があったが、7km手前で2位の東海大を、16km過ぎに首位の早大・猪俣をかわし、そのまま3年連続となる往路優勝のフィニッシュを飾った。しかし、猪俣も粘ってその差を27秒で抑え、復路での逆転劇をお膳立て。東洋大と早大は2003年に山梨学大がマークした往路記録を8年ぶりに更新した。 6区では東洋大と早大による一騎打ちとなり、途中で転倒のアクシデントがあった早大の高野寛基(4年)が意地の走りで東洋大を突き放し、首位を奪還。なお、この区間では駒大の千葉健太(2年)が従来の記録を10秒上回る区間新記録(58分11秒)をマークして5位から3位に上がっている。 続く7区では早大の三田裕介(3年)が区間2位の好走で東洋大に1分24秒差をつけ、勝負あったかと思われたが、そこから東洋大が粘りを見せた。8区の千葉優(4年)、9区の田中貴章(3年)、10区の山本憲二(3年)が3連続区間賞の走りで早大を猛追。一時は100m差まで迫ったものの、早大も復路全員が区間3位以内と意地を見せ、18年ぶり13度目の総合優勝を手にした。2位・東洋大との差「21秒」は史上最小だった。 3位以下は駒大、東海大、明大と続き、明大が48年ぶりのトップ5。拓大が過去最高の7位に食い込み、熾烈を極めたシード権争いは8位集団に4チームが固まり、1チームがシード権を逃す展開に。混戦模様が続いたものの、残り150mで國學院大の寺田夏生(1年)がコースを間違えるハプニングが発生。寺田は一時完全に集団から後れたものの、最後の最後で城西大をかわして10位を確保。城西大はわずか3秒差でシード権を逃した。 大会MVPにあたる金栗四三杯は2区で17人抜きを見せた村澤が受賞。早大は1990年度の大東大、2000年度の順大に続く史上3校目の「3冠」を達成し、東洋大は区間賞を4つも獲得しながら、3連覇を逃した。 参考文献:箱根駅伝90回記念誌(関東学生連盟) ※見出しの誤りを修正しました
月陸編集部