サクランボ剪定枝で衣類 エーディーバンクと佐藤繊維が開発、来年発売へ
来年の「やまがたフルーツ150周年」に向け、広告代理業の「エーディーバンク」(山形市、大城誠司社長)は、佐藤繊維(寒河江市、佐藤正樹社長)の協力を得て、サクランボの剪定(せんてい)枝を原料の一部とした衣類を開発した。地域の未利用資源を活用した循環型の商品。現在、試作段階で、来年の発売を目指す。 県などでつくる県産果物の認知度向上や観光交流の推進を目指す「県さくらんぼ&フルーツPR協議会」から、「150周年の記念となる物語性のあるものが作れないか」と委託を受け、開発に着手した。サトウキビの搾りかすから作られた衣類が商品化されている事例をヒントに、サクランボにも応用できるのではと考えた。廃棄される剪定枝に新しい価値を持たせ、持続可能な農業や経済の確立を視野に入れる。 県内のサクランボ農家から提供を受けた剪定枝のチップをパウダー化し、粉末を固めて薄く細い「和紙」を作った。さらにこの紙をこより状にし和紙糸とした。佐藤繊維が縦糸に綿、横糸に和紙糸を使ったポロシャツとカーディガンの試作品を手がけた。軽くさらっとした着心地だという。
剪定枝から作られた紙は、糸にするための薄いタイプのほかに、ノートや名刺など紙製品として使えるよう厚さを出すこともできる。他の衣類製作、紙製品など多様な使い方が可能で、大城社長(50)は県内のものづくり企業への波及を期待している。「多くの企業に興味を持ってもらいたい」と話した。