「鰻の成瀬」社長が語る驚きの経営戦略「鰻に触ったこともないし、究極の美味しさも求めていない」
将来の起業を胸に、FC業界を歩む
――将来の起業を胸に、英会話スクールのECC、ハウスクリーニングのおそうじ本舗と、一貫してFC業界を歩みます。 山本:ECCは、実は収益の柱はECCジュニア(子供向け英会話教室)。つまり、FCなんです。ここでFCビジネスに興味を持って、26歳で転職したおそうじ本舗では、FCビジネスの入り口から出口までのすべてを学んだ。当時20代後半でしたが、100以上の店舗を担当し、加盟店の解約率を1割以内に収めることができました。 ――給料もポジションも上がったんですよね。 山本:給料だけはバンバン上がったものの、自分には、社会適応能力があまりないので出世はできなかった(苦笑)。結果さえ出せばいいと思っていたんですが、日本の会社は結果より和を重んじる企業風土。中間管理職が評価してくれず、出世は叶わなかったんです。 ところが、会社が海外のファンドに身売りするや、一気に管理職に抜擢された。よしよし! このまま行くぞ、と思っていたら、今度は国内ファンドに会社が売られてしまい、また出世がピタッと止まった……。サラリーマンとして働くのに、日本は僕に合わなかったんです。
飲食への愛はないが、FCへの愛はある?
――僕もそうなんですが、経営者って社会に適合できないから自分で会社を起こしている(笑)。それで独立・起業するに至ったんですか? 山本:当時、多くのFC本部では、加盟店が潰れては契約を取っての繰り返し……。「スクラップ&ビルド」と言われ、働いていたFC本部もあしきFCといった扱いでした。成績も結果も出していたので、FCのサポートをすれば不幸になる人々が生まれてしまうのを、ある程度は防げると思ったんです。 ただ、一方で僕は、FC本部が加盟店の面倒を見ないから悪いとも、加盟店の努力が足りないから悪いとも思っていない。たいてい両方に悪いところがあるんです。 ――飲食への愛はないが、FCへの愛はある。でも、義理人情とは別物。結局、FC本部と加盟店が適正な関係を構築して、最適解の営業をすることがFCビジネスの成功……そう考えているだけなのでは? 山本:その通りです。僕、若干サイコパスなので、共感力が弱い(苦笑)。でも、僕、滋賀県出身なので、近江商人の経営哲学「売り手よし、買い手よし、世間よし」の“三方よし”には共感する。詰まるところ、それが一番合理的なんですよ。