【東京コミコン2024】津田健次郎、敵役の人間臭い魅力を熱弁!「ロード・オブ・ザ・リング」脚本家は「演技がすばらしい」と絶賛
千葉・幕張メッセで開催中の世界最大級のポップ・カルチャーの祭典「東京コミックコンベンション2024」(以下、東京コミコン2024)で12月7日、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ初となるオリジナル長編アニメーション映画「ロード・オブ・ザ・リング ローハンの戦い」のスペシャル・プレゼンテーションが行われ、声優の津田健次郎、神山健治監督、製作を務めたフィリッパ・ボウエン、ジョセフ・チョウが出席した。 本作は、J・R・R・トールキンによるファンタジー小説「指輪物語 追補編」の一部である、ローハンの最強の王ヘルムについての記述をふくらませたオリジナルストーリー。「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズを手がけたピーター・ジャクソンが製作総指揮、「東のエデン」「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」「精霊の守り人」で知られる神山健治が監督を務め、「Studio Sola Entertainment」がアニメーション制作を担う。 「ロード・オブ・ザ・リング」3部作の全脚本を手がけ、本作の製作とストーリーを担当したボウエンは「アニメの大ファン」とのこと。シリーズ最新作を誕生させる上でも、アニメーションとして描くことに大きな可能性を感じたと話す。「問題はすばらしい監督を見つけることだった」としながらも、「それが神山監督」と満面の笑みを見せていた。 もともとシリーズの大ファンである神山監督は、オファーを受けて「内心は踊り出したいくらいうれしかった」とにっこり。「これを作り上げることがどれだけ大変かはわかっていた。ローハンの戦いを描くとなれば、何千頭という馬が出てくる。おそらくアニメーションでは、騎馬の合戦を映像化したことはないと思います。不可能なんじゃないかと思った」と正直に打ち明けながらも、「日本のアニメを作っている人たちを代表してでも、これは受けるべき仕事だと思った。僕がここまで培ってきたデジタルの技術を使えば、もしかしたらできるのでないかと思った」と覚悟したことを告白。日本のアニメの特徴は「手描きアニメーターの技術のすごさ」だと力を込め、「アニメならではの良さも入れつつ、3部作として共通している部分が必要だった」と大切にした点について明かしていた。 主人公ヘラと敵対するウルフの吹替を務めている津田は、完成作を観て「仕事終わりに観た。疲れが吹っ飛んだ」と笑顔。ボウエンは「若い女性の視点から描かれる」と物語を紹介していたが、津田は「古典の良さが詰まっている上に、現代を生きる僕たちが共感できる。女性がどう生きていくかという現代的なテーマもはらんでいる」と一気に台本を読んだと振り返る。演じたウルフは「ヘラの敵役」だと語りながら、「ただの悪役ではない。見た感じはワイルドでたくましい感じですが、ちょっと弱さをはらんでいる。ちょっとかな…結構弱い。登場人物の中でもっとも人間臭い。欠落した部分がとても魅力的」と役柄の魅力を紹介。「監督と話をさせていただいた時に、『こいつは嫌われますね』とおっしゃっていた。でも僕は『逆かも』と思っています。嫌われながらも、すごく愛されるキャラクターになるんじゃないか」とキャラクターに並々ならぬ愛情を傾けていた。 チョウが「複雑なキャラクターを演じていただく上で、津田さんの名前しか上がってこなかった」とキャスティングの経緯を口にすると、「うれしい」と目尻を下げた津田は、「ステキな役をありがとうございます」と感謝しきり。ボウエンは「津田さんをはじめとする、吹替版の演技がすばらしい」と称え、「音楽もサウンドエフェクトもすばらしく、日本のアーティストの方々にお礼を言いたい。神山監督のことを世界に知っていただけることも誇らしい」と感慨を語る。神山監督は「たくさん作品を作ってきましたが、これほどのスケールの作品を監督するのは初めて。ハンドドローウィングのアニメでは実現不可能なんじゃないかという映像を、見事にアニメーターの人たちが描き上げてくれた。リアルですごく力強い映像ができている。作り手たちの情熱が反映された、すばらしい映画になった」と胸を張っていた。 「東京コミコン2024」は、千葉・幕張メッセで12月8日まで開催される。