「家系」「二郎系」の厚い牙城を崩せるか? 九州発信スープが透明な"ニュータイプ豚骨ラーメン"とは
豚骨ラーメンの本場・九州では、事情は全く異なります
他方、豚骨ラーメンの本場・九州では、事情は全く異なります。九州においては、ラーメン=豚骨ラーメンだと認識されています。九州のラーメン屋では、わざわざ「豚骨ラーメンをください」と言わなくても、ラーメンを注文すれば豚骨ラーメンが出てきます。 特に、老舗と目されるお店は、そもそも、自分たちが「熊本ラーメン」や「佐賀ラーメン」などと呼ばれるご当地ラーメンを作っているという感覚すら持ち合わせていません。これら老舗の多くは、豚骨ラーメンが全国各地でブームになる前から日々営業を続けてきたわけです。創業数十年の歴史を誇り、親・子・孫の三代にわたって通い続ける常連に支えられている店も珍しくありません。そんな彼ら(九州の人たち)にとっては、豚骨ラーメンは、ご当地ラーメンではなく、昔からある伝統的なラーメンに他ならないのです。 ただ最近、そんな九州ラーメンシーンにも、大きな変化が到来しつつあります。スープをあえて濁らせない「清湯豚骨ラーメン」が、ニュータイプの豚骨ラーメンとして、注目を浴び始めているのです。 例えば、中洲に本店を構える『豚そば月や』。同店は、丼の底が見通せるほどクリアな豚骨ラーメンを提供していますが、東京・銀座の中心部に進出し、舌の肥えたお客さんからの絶大な支持を獲得しています。 また、特に福岡県において、東京の最先端のラーメン店のような、魚介系・創作系のラーメンを出す店舗が増えています。ちなみに、このような「波」は、九州のみならず、同じく豚骨タイプのご当地ラーメンが存在する広島県、徳島県などにも押し寄せており、これらの県では、創作ラーメンを手掛ける小洒落た店舗が続々とオープンしています。 構成/大泉りか 【前編はこちら】戦前は透明だった? 九州豚骨ラーメンのスープが白濁したのは偶然の産物だった 【後編はこちら】年間700杯以上を食すラーメン官僚がオススメ、最新豚骨ラーメン店「頭ひとつ抜きん出た1杯」
ENTAME next編集部