親子で推し活「幸福度アップ」の調査結果 アニメ映画「応援上映」で救われた母と娘も
生活の一部として推し活が浸透するなか、「親子」で勤しむケースも少なくない。家族共通の推し活がある人の方が、個人の推し活はあるが家族共通の推し活はない人の場合より幸福度が大きいという調査もあるという。AERA 2024年11月4日号より。 【写真特集】こんな人まで撮影できたの?表紙の意外な大物たち * * * 『「推し」の科学』(集英社新書)などの著書がある愛知淑徳大学心理学部の久保(川合)南海子教授は、推し活のメリットとして「利他の喜びを得られる」「自分の世界が広がる」「現実世界をほんの少し離れられ、癒やされたり楽しめたりできる」の三つを挙げる。 「推しとファンは違います。好きな対象をただ受け身的に愛好するだけでは飽き足らず、能動的に何か行動をしてしまう対象が推し。他者と分かち合えれば一体感が高まり、メリットがより強固になります。物理的、心理的に近い親子やきょうだいなら熱量が一層高まる。快楽が消去される暇がありません」 久保教授は娘さんと2人、推しに救われた経験がある。それは、娘さんが中学入試で不合格となった時のこと。娘さんはショックを受け、久保教授も落ち込みがひどい娘さんにどう接していいか分からなかった。 ■推し活と幸福度の関係 その週末、好きなアニメ映画の「応援上映」があった。受験が終わったら行こうと予定していたので、どうするかと聞くと、「家にいても気が晴れないから」と出かけることになった。道中、応援のうちわを持った人に多数出会い、会場ではファンの熱気を肌で感じた。そして上映。大スクリーンに映し出される歌やダンスを見ているうち、久保教授はいつの間にか涙していた。 「映画の間も受験のことがずっと頭から離れませんでした。しかし全力で踊るキャラクター、全力で応援し楽しむファンの姿に、すごく力づけられた。前を向いて少しずつ歩いていけばいいという実感が湧いてきた。そして娘も同じ気持ちだったと思うんです。何も話はしなかったけれど、週明けにはいつものように学校に行き、日常を取り戻していきましたから。あの時、推しがいなくて、応援上映での体験を娘と共有していなかったら、どうなっていたことか」