「2人きりで会ってはいけない」、知的障害を理由に強いられた〝約束〟 なぜ私たちだけ?特別支援学校高等部の7割が交際を禁止や制限
薫さんは卒業後、在学中のように男性と会えなくなり、目に見えて落ち込んだ。彼女にとって、恋愛が大切なのは分かる。「応援したい。でも子どもができたら、どうするのか」。周囲で相談できる人は少ない。「学校で性教育を進めてほしいが、教師だけに負担を求めるのもおかしい。親も含めて学べるようになってほしい」と願う。 今は薫さんの恋を見守っている。先日は交際相手も含めて友人グループ数人でカラオケに行った。薫さんにとって恋愛が仕事や生活へのモチベーションになっているとも感じる。「時間をかけて、考えていきたい」と話す。 ▽踏み込んで教えていない性教育 東洋大の門下客員研究員は、恋愛の制限と同時に性教育の実施状況も調査している。調査結果では、特別支援学校高等部の学年主任の98・5%が「性教育を行っている」と答えた。だが、内容を聞くと、性交や避妊・家族計画、性的同意といった項目は半数に届かなかった。門下客員研究員は「学校側が『性教育を行っている』と考えていても、実際は踏み込んで教えていないケースが多い。性教育を十分に行わず、一方的に恋愛を制限しているのではないか。日本も締結している障害者権利条約では、生殖及び家族計画について年齢に適した情報や教育を享受する権利を認めており、学ぶ機会を保障するべきだ」と指摘する。 共同通信の記者が知的障害者の恋愛に関連する話題を音声で解説しています。共同通信Podcast「きくリポ」を各種ポッドキャストアプリで検索いただくか、以下のリンクからお聞きください。
https://omny.fm/shows/news-2/29