【京都ひとりランチ】じっくりコースを堪能!静かに料理と向き合える和食処3軒
昼のおまかせは、先付、造り、お椀、八寸と続き、和菓子と抹茶で終わる王道の懐石。「茶人の正月」ともいわれる11月は、お祝い感のある食材や盛り付け、12月には師走の演出で季節を実感できるものに。晩秋の八寸には、あんぽ柿とからすみ、スモークサーモンを合わせた小鉢や、なまこのみぞれ和えなど、お酒が進みそうな肴をたっぷり。熱々のかぶら蒸しもご馳走です。静謐な空間に身を置き、一品ごとの料理や器を愛でる上質な時が流れます。 <写真>熱々の吉野葛を溶いた銀あんが食欲をそそる「かぶら蒸し」。 【即今藤本(そっこんふじもと)】 京都府京都市中京区御幸町通夷川上ル松本町580-1 コース昼15,000円~、夜34,500円(いずれもサ込)~ ※要予約 営業時間/12時~14時30分、18時~21時30分 定休日/水曜
よこい|京料理のいまを知る!勢いある若手料理人の和食
呉服店だった築180年の町家を改装した落ち着きのある店内。弧を描くカウンターの奥には京都らしい坪庭がのぞきます。 風情溢れるこの店は、2023年12月に開業した「よこい」。静岡県の寿司店に生まれ、京都へ料理修業に出た横井裕史(ゆうし)さん。静岡の実家を継がず、京都で独立したのは「深い食文化がある厳しい環境のなかで、まだまだ切磋琢磨していきたいから」だと言います。 <写真>「鰻の白焼きとれんこんのステーキ」。削りかけられた西洋山わさびの辛みが旨みある鰻を引き立てる。
横井さんは、高台寺本店など「和久傳」で8年、上七軒のお茶屋が営む料理店や御所南「木山(きやま)」で経験を重ね、「二条やま岸」では料理長を務めました。料理は、正統派和食を根底に置きながらも、これまでの経験や自身のアイディアを加えた独自性の高いもの。11月のコース1品目に出る「飯蒸し」の上には華やかな菊花あん。栗の渋皮煮と四角いからすみが、デザイン性高く添えられます。「ハッとする驚きを」と横井さん。うに、トロ、いかを具材にした「手巻き寿司」は一人一人に手渡ししておもてなし。料理の説明に聞き入り味わう時間は濃密で、あっという間に過ぎていきます。 <写真>炙った海苔に赤酢のシャリ、うに、トロ、いかの「手巻き寿司」、店の名物的存在。客にじかに手渡す。 【よこい】 京都府京都市下京区万寿寺中之町88 コース昼16,500円、夜27,500円 ※要予約 営業時間/12時~15時(土・日・火・水曜のみ)、18時~22時 定休日/木曜 撮影=高嶋克郎 大道雪代 文=中井シノブ 編集=吉岡博恵(婦人画報編集部) 『婦人画報』2024年12月号より