箱根駅伝予選会は大波乱!古豪・筑波大の劇的復活と名門・山梨学院大陥落の理由とは?
予選会のサプライズはまだまだ続く。伝統校が復活した一方で、平成の箱根路を沸かせた大学が予選会で敗退した。日大、国士大、早大、中大は踏みとどまったが、上武大(13位)、城西大(15位)、山梨学院大(17位)、大東大(18位)が新時代の波に飲み込まれた。 なかでもショッキングだったのは山梨学院大だ。第63回大会(1987年)から33年連続出場が途切れることになる。3度の総合優勝に輝いたチームだが、近年の箱根は17位、18位、21位と途中棄権を除いて、ワースト順位を更新していた。今回はボーダー付近の争いが予想されていたが、ケニア人留学生を擁しながら17位まで順位を落とした。 今年2月に上田誠仁監督が陸上競技部全体の監督になり、飯島理彰駅伝監督が長距離の指揮を執る体制になったが、悪い流れを食い止めることはできなかった。平成の箱根駅伝すべてに参戦してきた上田監督は、「勝者がいれば敗者がいる。希望があれば挫折がある。我々は挫折や悔しさ、後悔、いろいろなものを噛みしめている。その中から一歩を踏み出さないといけない」と話していた。箱根駅伝で一時代を築いた山梨学院大の陥落は、新時代の到来を物語っているように見えた。 前回は麗澤大が10位の山梨学院大まで2分14秒差と迫る12位まで急浮上して話題となったが、今回は11位で10位の中大に26秒差まで接近した。12位は法大のエースとして箱根駅伝を沸かせた徳本一善が駅伝監督を務める駿河台大でボーダーラインとは1分58秒差。前回18位から一気に順位を上げてきた。この2校は上位10人中4年生が2人だけ。来年は初出場が射程圏内に入ったといえるだろう。 一方でトップ通過の候補に挙げられていた早大が9位、中大が10位というギリギリ通過だった。超名門校としては厳しい現実となった。 前日の大雨から一転、東京・立川は秋の晴れ間が広がった。スタート時の気温は17.9度で、グングンと気温が上昇したことも今回のレースに大きく影響した。前回は10位の総合タイムが10時間46分51秒だったが、今回はトップ東京国際大の総合タイムが10時間47分29秒と大幅に下がった。ペース設定の指示が明暗をわけた部分もあるだろう。 箱根駅伝予選会には魔物が棲んでいる。それは令和の時代になっても変わらない。新興勢力がさらに勢いをつけるのか。それとも常連校が意地を見せるのか。予選会のドラマはこれからも続く。 (文責・酒井政人/スポーツライター)