中国の深遠なる活動「三戦」とは?
三戦は中国軍だけの活動に留まらない
中国の三戦とは、国内外の世論に訴えつつ、相手の心を揺さぶり、自身の正当性を主張する法的根拠を整えることで、自分が有利になる環境を創り出そうとする活動です。そして、2008年の中国の国防白書において「軍事闘争を政治、外交、経済、文化、法律等の各分野における闘争と密接に結合することを堅持」すると謳われているように、三戦は中国軍だけの活動に留まらない、様々な分野にも通じる深遠な活動でもあります。 もっとも、三戦があらゆる局面において成功しているとは言えません。実際、南シナ海における中国による岩礁の埋立ては、2015年6月に開催された主要7カ国首脳会議でも確認されたように、国際社会の強い反発を招いています。しかし、中国が世論戦、心理戦、法律戦という発想を持ち、実際に硬軟合わせた様々な活動を展開していることは事実です。世界には自分たちの国益を守るために、日本では考えにくい思考や手段をとる国が存在することを、中国の「三戦」は私たちに教えてくれています。 (廣瀬泰輔/国会議員秘書)
---------- 廣瀬泰輔(ひろせ・たいすけ)。元米戦略国際問題研究所(CSIS)客員研究員。防衛大学校卒。松下政経塾卒。日本財団国際フェローシップ(2期)、EU短期招聘訪問プログラム(EUVP、2015年)。主な執筆記事に、「中国の海洋進出の背景にある『考え方』とは?」など。