いすゞとUDトラックスなど、新東名で大型トラックを用いたレベル4自動運転技術の公道実証開始
いすゞ自動車とUDトラックスは11月5日、日野自動車、三菱ふそうトラック・バスの国内商用車メーカー4社と、豊田通商、先進モビリティ、日本工営、みずほリサーチ&テクノロジーズと合同で、新東名高速道路における大型トラックを用いた自動運転技術の公道実証を開始した。 【画像】UDトラックスの実証車両 今回の実証では、いすゞ、UDトラックスともに、いすゞの大型トラック「ギガ」をベースに開発した自動運転レベル4トラックを各社1台ずつ使用。車両総重量(GVW)25tの6×2モデルに、自車の位置を推定する「GNSS(衛星測位システム)」、車両の挙動を検知する「IMU(慣性計測ユニット)」、前方・側方の物体を検知する「ミリ波レーダー」、車両周辺360度をスキャンする「LiDAR」などの高性能センサを搭載し、ボディには“RoAD to the L4”のロゴデザインと各社の企業ロゴをデザインした。これらの車両を用いて、新東名高速道路の駿河湾沼津SA(サービスエリア)~浜松SA間において、自動運転を社会実装する際に必要となる複数の機能の確認や検証を個別に実施する。 具体的には、中継エリアの自動発着を模擬したSA/パーキングエリア(PA)での自動で発車・駐車を行なう自動発着システムや、緊急時に停止するための制動機能をはじめ、道路周辺に設置されているITSスポットなどの路側機器から発信される故障車や落下物情報などの先読み情報支援(非突発情報/突発情報)、走行時の遠隔監視機能など、自動運転を社会実装する際に必要となる複数の機能の確認・検証をしていく。 ドライバー不足などの社会課題解決に向け、プロジェクトの受託者である4社と商用車メーカー4社および、物流事業者をはじめとする関係者とともに、官民一体で2026年度以降の幹線道路における自動運転トラックの社会実装を目指しており、これまで経済産業省と国土交通省による「トラック隊列走行の社会実装に向けた実証」(2016~2020年度)を実施。後続車の運転席を無人とした状態でのトラックの隊列走行技術を実現した。 現在実施中の2021年度から2025年度における取り組みでは、高速道路周辺の物流施設やSA/PAなどの中継エリア間における単独での無人走行の実現を目指し、その際に必要な外部インフラ機器からの支援、監視・管理などの運用、車両機能の検証を行なっている。 今後、今回の実証における評価結果を踏まえ、プロジェクトの最終年度となる2025年度は、SAでの発車から本線の合流・車線変更、目的地点への駐車までを、より実際の走行に近い形で検証する予定としている。 また、経済産業省が主導する「デジタルライフライン全国総合整備計画」におけるアーリーハーベストプロジェクト「自動運転サービス支援道の設定」の1つである、自動運転車優先レーンを活用した実証実験を実施していく予定。 いすゞとUDトラックスは、豊田通商、先進モビリティ、日本工営、みずほリサーチ&テクノロジーズの4社とともに、経済産業省と国土交通省が推進する「自動運転レベル4等先進モビリティサービス研究開発・社会実装プロジェクト(RoAD to the L4)」の「高速道路における高性能トラックの実用化に向けた取り組み(テーマ3)」に参画。直近では、国土交通省事業「高速道路における路車協調による自動運転トラックの実証実験」の実験車両協力者として採択されるなど、特定の走行環境条件を満たす限定された領域で自動運行装置が運転操作の全部を代替する状態と定義されている自動運転レベル4トラックの社会実装に向けて取り組んでいる。 実証に参画する各社の役割は、豊田通商がプロジェクト推進・全体計画管理、先進モビリティが車両システム開発・評価試験、日本工営が実証実験運営、みずほリサーチ&テクノロジーズが自動運転レベル4トラックを活用した物流システムの中で有用性の高い事業モデルの検討・事業性分析などを担当する。また、いすゞ、日野、三菱ふそう、UDトラックスは、走行環境/運行条件の整理、評価、実証実験計画立案となる。
Car Watch,編集部:北村友里恵