広島大歯学部の歯科衛生士教育研修センター。復職希望者や新人のスキルアップを支援している

　虫歯や歯周病予防などをサポートする歯科衛生士が、全国的に不足している。中四国地方でも求人倍率は20倍を超え、慢性的な不足が続く。離職中の人に復帰を促し、人材不足を補おうと、広島大歯学部の歯科衛生士教育研修センター（広島市南区）は無料の研修会を始める。 中国地方で活躍する歯科衛生士 　国家資格の歯科衛生士は、診療補助や口腔（こうくう）ケアの指導も担う。全国歯科衛生士教育協議会の調べでは、2022年度の求人倍率は23・3倍。中四国で21・8倍だった。 　広島県内の養成校は全5校で、24年春は計197人が巣立った。このうち広島大の養成機関を出た21人には299人分もの求人があったという。 　県歯科医師会の福井康人理事は「近年は健康意識が高まり、治療だけでなく、病気の予防のために通う人が多くなった」と指摘。専門職のニーズが高まる一方、少子化が進み、人材不足に拍車をかけているとみる。 　また歯科衛生士は女性が圧倒的に多く、結婚や出産を機に離職する人が多い。厚生労働省の20年度の調査では、資格を持つ約30万人のうち、就業しているのは半分以下の約14万人にとどまる。 　こうした事態を受け、広島大は復職支援や離職防止を図り、19年に教育研修センターを設けた。今回の研修は8～10月、厚労省の補助事業を活用して開く。歯石除去などの実習18科目とオンライン学習11科目を自由に受講できる。 　県歯科衛生士会も平日午後1～4時、東区の会館内で無料の職業紹介を続ける。同会は「人材不足で患者数を抑えている医院もあると聞く。活躍の場は介護施設などにも広がっており、資格を生かしてほしい」と促す。☎082（264）8863（月水木曜のみ）。