ホンダ「脱ガソリン」本気 中国で希望退職1700人応募も、海外勢へ強まる逆風とは
ホンダの中国事業の見直し
5月中旬、ホンダは中国での自動車販売の落ち込みを受け、現地の合弁会社の工場で希望退職を募集して、人員削減を行うと報道された。 【画像】EV失速?復活? これが販売台数の「最新データ」です(計10枚) ホンダは、中国においてふたつの会社 ・広汽ホンダ:広州汽車集団との合弁会社 ・東風ホンダ:東風汽車集団との合弁会社 で、ガソリン車を中心に生産してきた。今回人員削減の対象となったのは、広汽ホンダのほうで、工場で生産業務を行う正社員を対象とし、従業員全体の14%にあたる約1700人が応募した。ちなみに広汽ホンダは、2023年末にも900人の派遣労働者を解雇したとの報道もあり、ますます整理が進んでいる。 人員削減の背景には、中国における新エネルギー車の台頭によるガソリン車の販売の落ち込みのほか、ホンダの電気自動車(EV)生産へのシフトがある。東風ホンダが2023年7月に発表した新戦略「創未来2030」では、 ・2027年までに新たなガソリン車の投入を終える ・2030年までに純電気自動車(BEV)を10モデル以上販売する ・バッテリー式電気自動車(BEV)、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)における東風ホンダのブランドを全面的に構築する としている。また、年内にはEV専用の東風ホンダの工場が武漢で稼働開始する予定である。 もちろん、人員削減が報道された広汽ホンダもEVを販売しているものの、今後はガソリン車をどうするのか具体的な戦略が求められている。
中国における自動車販売の推移
ホンダの中国での自動車販売は、2015年度に初めて100万台超えを記録し、2016年度には130万台を達成した。2017年度以降の推移は次のとおりだ(ホンダ資料より)。 ・2017年度:145.1(万台) ・2018年度:146.7(万台)微増も市場自体はほぼ全てのセグメントで前年割れ ・2019年度:144.1(万台)新型コロナ感染拡大の影響が始まる ・2020年度:179.5(万台)中国政府による消費刺激対策で過去最高を記録 ・2021年度:152.5(万台)半導体不足や新型コロナ感染再拡大 ・2022年度:124.0(万台)減税措置終了、先行き不透明と認識 ・2023年度:122.1(万台) ピークの2020年度では、米国販売(約140万台)をはるかに超えており、ホンダにとって中国市場がいかに重要かがわかる。とはいえ、2020年度の179.5(万台)をピークに下降傾向をたどっているのが現実だ。ホンダは、 「将来的にはEVの新ブランドを展開させながら120万台を維持したい」 としている。販売台数の変化は、新型コロナ感染拡大といった外的な要因に加え、中国政府の政策と密接に関わっており、引き続き先行き不透明といったところだろう。 ただ、中国での自動車販売に苦戦しているのはホンダだけでなく、日産の生産台数調整、トヨタの人員整理、三菱自動車の撤退と他の日本勢も同じ状況である。