中国GACが空飛ぶクルマの新ブランド「GOVY」発表、低空モビリティ市場に参入
中国のGACグループ(広汽集団)は、空飛ぶ車ブランド「GOVY」を立ち上げ、初の複合翼型モデル「GOVY AirJet」を発表した。GACは低空モビリティ市場に本格参入、統合的な空中交通システムの構築におけるリーダーシップを確立する重要な一歩となるという。 中国GACの空飛ぶクルマ「GOVY AirJet」 GOVYは、空飛ぶ車の研究開発、生産、販売、およびサービスを包括的に手がける。GACの自動車産業における豊富な経験と、最先端の自社開発技術、インテリジェント運用プラットフォームを活用し、都市内および都市間の移動を再定義するシステムソリューションの提供を目指している。 GOVY AirJetは、固定翼の効率性と多重回転翼システムの垂直離着陸能力を兼ね備えた複合翼型の空飛ぶクルマ。90%以上のカーボンファイバー複合素材を使用し、軽量かつ高耐久、高性能な構造を実現している。GACの独自開発による高効率電動駆動システムを搭載し、最高速度250km/h、航続距離200km以上を達成。急速充電では30分で充電が可能だ。将来は全固体電池技術の採用により、航続400kmまでの延長が見込まれている。 機内は「1+1+X」のシーティングレイアウトを採用した高級キャビンとなっており、シームレスな自律飛行操作が可能。「PIXEL GALAXY」と呼ばれる星空ルーフにより、乗客に宇宙旅行のような体験を提供する。冗長電源・制御システム、リアルタイムモニタリング、障害物検知など、最先端の安全機能も備えている。 GACはさらに、地上と空中の交通を統合したエンドツーエンドのスマートモビリティソリューション「Robo-AirTaxi」システムの計画も明らかにした。20km以内の短距離都市内移動には多重回転翼型の「GOVY AirCar」を、200kmまでの中距離移動にはAirJetを使用する。このシステムにより、「40分で大湾区(グレーターベイエリア)生活圏」の実現を目指し、都市間の移動をシームレスにつなぎ、移動時間とコストの削減を図る。 GACは2025年までに空飛ぶ車の型式証明取得、生産ライン確立、予約受付開始を目指しており、低空モビリティの商業化を進めている。GOVYは、GACのイノベーションへの取り組みを象徴し、都市の空中交通の境界を押し広げ、効率的でインテリジェントなソリューションで移動体験を再定義するものだ。 2027年までに大湾区の2~3都市でデモンストレーション運用を計画。GACは画期的な技術で都市のモビリティを変革し、よりスマートで安全、持続可能な交通の未来への道を切り開こうとしている。
レスポンス 森脇稔