長野県松本市の公開データ活用少なく サイトの認知度不足 今後のビジネス活用に期待
長野県松本市が市公式ホームページ(HP)内に開設している、人口データなどをまとめた「オープンデータサイト」の認知度が低い状況にある。市が所有する膨大な行政データをウェブを通じて市民に公開し、活用してもらうことを目的に平成30(2018)年10月に開設された。全国的には企業がビジネスに活用する事例などが報告されているが、松本市では今のところ目立った活用事例の報告がない。市は「まずはサイトの存在を知ってもらいたい」と訴える。 当初は地区別の人口や世帯数などを文書や表形式などで公開し、徐々に扱う項目を増やした。農業、商業、工業、観光、交通、建設、子育て・教育といった分野でさまざまな情報を提供し、随時更新している。 市は令和3年度に策定した「DX・デジタル化推進に関する骨太の方針」で、誰もが使える形で行政データが手に入ることを掲げた。4年度のオープンデータサイト視聴回数は3514回、5年度は5719回、本年度は1月7日までに4539回の視聴があったものの、データの活用に結び付く事例は少ないようだ。 松本ものづくり産業支援センターが運営する、ICT(情報通信技術)支援拠点施設「サザンガク」(松本市大手3)では、社会人にデジタルを学ぶ場を提供する任意団体が市のオープンデータを利用してセミナーを開いたことがあり、その際に初めてデータの存在を知った参加者が多かったという。 同施設から委託を受けてマネジメント業務を担う中山拓輝さん(32)は「デジタル化した情報の需要はこれから高まるのではないか」と期待し、市DX推進本部の島村守次長は「まずはサイトにアクセスしてどんなデータがあるか見ていただき、活用に発展させてもらえたらうれしい」と話している。
市民タイムス