旧優生保護法訴訟で口頭弁論 「国は一刻も早い謝罪と賠償を」強制的に不妊手術を受けた男性の訴え
お見合い話も破断、男性「家庭など作れない」
男性は施設で“オンドル”と呼ばれる暖房に関する仕事に従事。施設の職員に言われるがまま、オンドルに石炭を入れて暖房をたいていたほか、近くの労災病院の残飯を受け取りに行く仕事もしていた。男性はその後、21歳の頃に岩見沢の市立病院で不妊治療の手術を受けた。その際には手術を行う理由の説明もなく、あっという間に終わったという。手術後の感覚で、男性は「これは避妊手術を受けたんだろう」と判断したという。 男性はその後、小樽にある道立の施設へ。木工機械などを用いて版画づくりや畑作業にも少し従事した。その際にはとある道職員と親しくなり、お見合いの話を持ちかけられた。ところが、どこからか男性が不妊手術をしたという情報が伝わったのか、お見合いの話はなくなった。男性によると、道職員とはそれから連絡が取れていないという。 そのうえで男性は、「結婚するより、1人で暮らした方がいい。家庭など、作れないと思った」と話した。男性には疾病や障害はなかったのだが、このような仕打ちを受けてしまったわけだ。 裁判は引き続き行われる。国の責任が認められるのかどうかに注目が集まる。
小林 英介