「AV産業の適正化を考える会」顧問の宇佐美典也氏が「AV新法は自公による人権侵害」と指摘
6月に迫った見直し期限に向けて2回目のシンポジウム
「AV産業の適正化を考える会」が4月4日、都内で第2回シンポジウム「人権保護とAV製作を両立するにはどのようなルールが必要か?~ポスト適正AVにおける出演被害対策と表現の自由・職業選択の自由の両立について考える~」を開催した。 同会では2月20日にAV出演被害防止・救済法、いわゆるAV新法の問題点について各分野における専門家から国会議員に説明するシンポジウムを開催。今回は6月に迫ったAV新法の見直し期限に向けて幅広い立法関係者への認知と理解の促進を図り、問題点に関する議論の深掘りにつなげることを目的に行われた。 顧問を務める制度アナリストの宇佐美典也氏はシンポジウム後の取材で、同法について「自公による人権侵害」などと指摘した。 シンポジウムには宇佐美氏の他に同会の発起人である二村ヒトシ監督、顧問で弁護士の平裕介氏、「エンターテインメント表現の自由の会」の坂井崇俊代表、関西大学社会学部の守如子教授、女優の星乃莉子、そして政治家側から立憲民主党の川田龍平参議院議員(オンライン)、日本維新の会の堀場さち子衆議院議員、国民民主党のたるい良和元衆議院議員、NHKから国民を守る党の浜田聡参議院議員が出席。同会の賛同人の要友紀子氏がファシリテーターを務めた。
過剰規制で弱い立場の人の労働環境が悪化
宇佐美氏はこの法律の制定の過程や内容を説明する中で「3カ月あるかないかという短い期間で制定された。18~19歳のAVの出演取り消しの可能性について、立憲民主党が成人年齢の引き下げに伴う問題点として質問し、岸田総理が前向きな検討をした。このこと自体は適正AVも18~19歳を出さないという方針を出していたので、そこにかみ合うような形で自主規制を守らない人たちにも網がかかるいい提案だった。こういう方向で進むのかと思ったら、自民党と公明党のプロジェクトチームが全年齢を対象にするという形で法規制の幅が広がって、そのまま可決した。法律の内容の主な点は出演者への契約書の交付・説明義務、契約から撮影まで1カ月、公表まで4カ月というルールを課されるというもの。つまり契約から発売まで5カ月かかるというルールが策定された。もともと3カ月ほどで制作されていたものが、強制的に製作期間が延長され、製作本数が減る。そうなると人気女優とか売上が見込める方々に撮影が集中し、企画単体といわれる方や中堅女優の仕事が減り、アングラに流れたり、海外売春に流れるという負のループが生まれている。出演者を守るために作った法律が、もともと18~19歳で限定されたものが策定の過程で全年齢に拡大されて過剰規制になり、弱い立場の人の労働環境が悪化して、経済的に苦境に追い込まれている現状になっているので見直しが必要だと考えている」などと指摘した。