「いつでも能登に飛んでいく」 紅白で輪島入りの坂本冬美さん
31日夜の第75回NHK紅白歌合戦に出場し、避難所に使われた輪島高の体育館からヒット曲「能登はいらんかいね」を披露した演歌歌手の坂本冬美さん(57)は出演後、北國新聞社のインタビューに応じ「私にできることは歌しかないが、いつでも能登に飛んできたい」とこれからも被災地を支える決意を語った。(聞き手は社会部・増川暢聡) 【写真】紅白歌合戦で輪島高の体育館で歌を披露する坂本さん 番組では市民約300人を前に歌唱した。数時間後には地震から1年を迎える中で今までにない緊張感があったという。本番で坂本さんが登場すると、集まった人たちが笑顔と温かい拍手で迎えた。「一体感があり、『皆さんの紅白なんだ』という気持ちで歌えた。拍手が私の背中を押してくださった」と感謝した。 地震後、能登に入ったのは今回が初めて。東日本大震災の被災地を訪れた後、自己満足ではないかという気持ちになり、それ以来、被災地での慰問活動に二の足を踏んでいたという。ただ、輪島での出番を終え、「皆さんの笑顔と拍手で取り払われた」と話した。 会場には「大みそかに素敵なプレゼントをもらえて涙が出た」と話す人もいた。その中で坂本さんは「私は逆に皆さんからパワーをもらった。復興に向けて頑張ってきた力強さを握手や笑顔から感じられた」と語った。 紅白では地元の「御陣乗(ごじんじょ)太鼓保存会」と共演した。1990年に「能登はいらんかいね」を発売した当時はまだ生まれていなかった保存会員も加わり、太鼓をたたいた。「本当に感慨深かった。御陣乗太鼓は変わらず力強かった」と振り返った。 坂本さんは、人生の応援歌として知られる「風に立つ」の一節「人生やるっきゃないさ」を色紙にしたため、「もうこれ以上、神様は苦しめるようなことはしないと思う。時間はかかるかもしれないが、また素敵なまちをつくってほしい」とエールを送った。