2000本目前のカープ新井、どんな打者? 達成はいつ?
通算2000安打まであと29本で開幕を迎えた広島の新井貴浩が好調なスタートを切っている。開幕戦で2安打を放つと、26日の試合でも同点タイムリーを含む2安打で2試合連続のマルチ安打、2000安打まではあと25本となった。 これまで46人の打者が達成している2000安打だが、達成した選手たちの打者としてのタイプは様々だ。表1はこれまで2000安打を達成した打者と新井の通算打率と本塁打率(本塁打数÷打数)を比較したものだ。本塁打率はあまりなじみのない指数だが、例えば本塁打率が.050の場合、年間500打数の打者だとシーズン25本塁打になる。.040~.050ぐらいの数字であれば年間20本塁打を安定してクリアする程度の打者という感覚でとらえていただきたい。
これまで46人で通算打率が最も低かったのが谷繁(現中日監督)の.240、最も高いのは若松勉(ヤクルト)の.31918となっていて、本塁打率は最高が王貞治(巨人)の.094、最低が宮本慎也の.008だった。そして2000安打達成者の平均をとると、打率は.287、本塁打率は.043となった。これに2000安打達成時の平均年齢(39歳)を加えると平均的な2000安打達成者の打者像がみえてくる。つまりシーズンの打率は3割弱、年間20本強の本塁打という成績を40歳手前まで続けると2000安打に到達するというイメージだ。 今回2000安打を目前としている新井のこれまでの通算打率は.277、本塁打率は.040、そして年齢は今年で39歳だ。これはかなり2000安打達成者の平均的に近い数字といえないだろうか。表1の「平均」の位置と新井の位置を比べていただいてもかなり接近しているのがお分かりいただけるだろう。選手としてはかなり個性的なイメージの強い新井だが、残してきた成績は「平均的な大打者」ともいえるものなのだ。
過去の達成者の中に新井にきわめて近い成績を残していた選手がいる。表1で新井のすぐ左上にプロットされている選手、これは1960年代から70年代にかけて大洋(現DeNA)の中心打者として活躍した松原誠だ。新井と松原、この二人の成績を比較したものが表2である。 打率と本塁打率のほかにも出塁率、長打率、打点、併殺打、四球などの成績がかなり接近している。「松原2世」ともいえる成績を残してきた新井だが、松原とは成績以外にも縁がある。実は新井がレギュラーに定着し始めた2001~2002年のシーズンに一軍チーフコーチ兼打撃コーチを務めていたのが松原だったのだ。恩師ともいえる存在とそっくりな通算成績を残すというのはプロ野球の歴史の中でも稀なことではないだろうか。