湊かなえが「イヤミス」と言われるなかで自らに課しているもの
黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「黒木瞳のあさナビ」(1月8日放送)に小説家の湊かなえが出演。最新作『人間標本』について語った。
黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「黒木瞳のあさナビ」。1月8日(月)~1月12日(金)のゲストは小説家の湊かなえ。1日目は、『人間標本』で原点回帰した理由について― 黒木)湊さんの作品である『落日』で、WOWOWの連続ドラマWに出演させていただきました。 湊)大畠凜子先生ですね。 黒木)『落日』も刊行時に買って読んでいて、そのあとプロデューサーから『落日』をやりたいと伺いました。 湊)役をつくり上げてくださっていると事前に伺っていたので、「原作を読んで膨らませてくださっていたのだ」と、いますごく感激しています。 黒木)その『落日』の舞台挨拶のときに、湊さんに初めてお目にかかりました。小説から受けるイメージと、ご本人から受けるイメージが(異なり)、とてもチャーミングな方ですね。人の心臓をぐっと掴むような湊さんの作品の大ファンです。 湊)ありがとうございます。『落日』のときは皆さん、普段は主役を務めるような方ばかりが登壇されていて、「私のようなものが同じ台に立たせてもらっていいのかな」と、右手と右足が一緒に出るような状態でした。きちんと挨拶もできず申し訳ありませんでした。 黒木)2023年12月に、最新刊となる『人間標本』を出されました。これまでの作品とはまったく違いますね。 湊)2023年がデビュー15周年だったのです。デビュー作が明るい読後感ではない『告白』という作品だったので、今回は原点回帰というところでしょうか。デビュー作は人に読まれることを意識しないまま、書きたいものを書きました。デビュー当時は「そのあとどう思われても構わない」と思っていたのです。 黒木)デビューしたときは。 湊)当時は子どもが小学校1年生だったのですが、「子どもの同級生もやがて小説を読むようになっていくのか、ママ友も読んでいくのか」と思い、(その後は)あまり過激なものや暴力性の高いものは避けておこう、もっと希望が見えるラストにしておこうと、「決まった枠のなかで面白い作品をつくろう」ということに挑むようになりました。 黒木)そうだったのですね。