持ち合い解消加速、株主総会は真剣勝負に-メガ2行トヨタ株売却方針
(ブルームバーグ): メガバンク2行が政策保有株として持つトヨタ自動車株の売却を検討していることは、日本企業による株式持ち合い解消の流れが本格化していることを示す。企業側から見れば安定株主を失うことも意味し、かつては形式的な儀式とも位置付けられていた株主総会がこれまで以上に真剣勝負の場となっていく可能性がある。
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メガ2行の持ち合い株解消の影響が現れるのは早くとも来年以降になるが、トヨタの経営陣は認証不正の問題という逆風下で、今年の総会に臨む。
18日に愛知県豊田市のトヨタ本社で開かれる総会に向けては会社側から3議案が提出されている。焦点となるのは豊田章男会長を含む取締役10人の選任だ。
米大手議決権行使助言会社のインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)とグラスルイスは5月、ともに今年の総会で豊田氏の取締役選任に反対するよう推奨。ISSは、ダイハツ工業などトヨタグループで相次いだ不正について豊田氏に説明責任があるとして昨年の賛成推奨から反対に転じた。トヨタ本体での認証不正が発覚したのはその後で、経営陣への風当たりはさらに強まりそうだ。
トヨタの広報担当者にコメントを求めたが、得られていない。
創業者の豊田喜一郎氏の孫にあたる豊田氏は2009年6月に社長に就任。車好きで商品力向上に取り組み、東日本大震災や新型コロナウイルス禍などの難局も乗り切った。前期(24年3月期)の営業利益は5兆円を超え、円安の追い風もあって株価は就任時との比較で4倍以上に増加した。
好業績でも
ただ好業績とは裏腹に株主総会での豊田氏の取締役選任賛成率はここ数年低下が続く。20年は98.30%と、確認できる10年以降最も高かったが、23年は前年比約11ポイント下がり84.57%と取締役候補の中で最も低かった。
英調査会社ペラム・スミザーズ・アソシエイツのアナリスト、ジュリー・ブート氏は、豊田氏へ賛成率にはかつて電気自動車(EV)への対応が十分ではないとする考えがあったと指摘。EVブームの失速を受けて取締役会の独立性の問題に焦点が移り、今年はトヨタグループで相次いだ不正問題が注目されている。