谷村新司さんが武道館に帰ってきた――来月8日に一周忌 歌声と映像…アリス“3人”で追悼コンサート
アリスが18日、日本武道館(東京都千代田区)で、昨年10月に74歳で亡くなった谷村新司さんの追悼公演「ALICE FOREVER~アリガトウ~」を開催した。ボーカル&ギターの堀内孝雄(74)とドラムの矢沢透(75)の2人と、谷村さんの歌と映像をシンクロさせる特別演出を実施。約2年ぶりとなる“3人のアリス”の再現で約7800人のファンを喜ばせた。 「僕らの永遠のリーダーです!谷村新司!」。堀内が叫ぶと、スクリーンに谷村さんが映し出された。“3人のアリス”が実現するのは2022年11月以来。谷村さんから「ボーカル&ギター堀内孝雄!」と紹介された堀内は「なんでお前は逝ったんだ」と涙を拭い「どうかみんな助けてくれー!」と言葉を振り絞った。 生前の谷村さんの立ち位置は客席から見て右側。そこに常にスポットライトが当てられ、愛用していた5本のギターが並んだ。日本武道館は、1978年に日本人アーティストとして初の3日間公演を行うなど、何度も立った思い出の場所。観客は在りし日の谷村さんに思いをはせながら、代表曲「チャンピオン」など21曲、約2時間のステージに酔いしれた。 来月8日には一周忌を迎える。開演前に取材に応じた2人は「見ててよ、チンペイ(谷村さんの愛称)」と力を込めながらも「寂しさがいっぱい。谷村ロスです」と胸中を明かした。堀内は「歌うたびに彼を思い出しちゃう。これは永遠に続くのかな」と語り、矢沢は「一生懸命前を向いて、コンサートに向けて技を磨いてきた。谷村はいないけど、今日一番良いものを見せたい」と前を向いた。 追悼公演は10月に大阪城ホールでも行われる。矢沢は「本当の悲しさは大阪城ホールが終わってからくるのかな」とポツリ。その後のアリスとしての活動は決まっておらず、堀内は「アリスのひとまずの区切りです」と寂しそうに話した。(高原 俊太) ≪「ウルッ」「感傷的に」ファン感激の声続々≫日本武道館によみがえった谷村さんの姿にファンは感激した。親子で参加した山寺博子さん(76)は「谷村さんと同じ年生まれなので思い入れが強い。ウルッときてしまいました」と涙。息子の雅博さん(50)は「こうして谷村さんの声を聴くことができてうれしい」と笑顔。45年近くライブに通い続けているという藤井滋さん(63)は「チンペイさんの声を聴いたら、青春を思い出して感傷的になりました」と目を赤くした。 ◇アリス武道館ライブ全曲◇ (1)冬の稲妻 (2)今はもうだれも (3)BURAI (4)LIBRA―右の心と左の心― (5)あの日のままで (6)やさしさに包まれて (7)走っておいで恋人よ (8)あなたのために (9)ユズリハ (10)あなたがいるだけで (11)それぞれの秋 (12)秋止符 (13)夢去りし街角 (14)涙の誓い (15)ジョニーの子守唄 (16)エスピオナージ (17)狂った果実 (18)帰らざる日々 (19)遠くで汽笛を聞きながら ………アンコール……… (20)チャンピオン (21)GOING HOME ◇アリス 1971年12月に谷村さんと堀内で結成。翌72年3月に「走っておいで恋人よ」でデビューし、同5月に矢沢が加入。最大のヒット曲「チャンピオン」は累計売り上げ78万枚、オリコンチャート1位を獲得した。81年10月の甲子園球場公演、同11月の後楽園球場公演をもって活動を停止。2009年に本格的に再始動し、22年には活動50周年記念ライブも開催した。