さくらももこがサポートする静岡市シティプロモーションとは?
さくらももこ氏といえば、国内にとどまらずアジアでも人気のアニメ「ちびまる子ちゃん」の作者として知られる漫画家。そのさくらももこ氏が自身の出身地、静岡市のシティプロモーションにひと役買っていることは意外と知られていない。ゆるキャラやテレビ番組の誘致など行政のプロモ合戦花盛りだが、さくら氏がサポートするシティプロモーションは一体どのようなものなのだろうか?
「台湾のお客様と名刺交換したところ打ち解けて、その後の交渉もスムーズに進みましたよ」 ── こう話すのは産業政策課に籍を置いていた静岡市職員。地元企業と台湾バイヤーを仲介する商談会を市の主催で開催した際、台湾関係者と名刺交換をすると「おぉ、ちびまる子ちゃんですね?」と喜ばれ、その後の話し合いも和やかに進んだという。 名刺には、富士山や茶畑、桜えびなどを背景にちびまる子ちゃん似の女の子が描かれたイラストが……。お役人の持つ名刺らしからぬその名刺に描かれているのは、実はちびまる子ちゃんではなく、さくらももこ氏ご自身。ちびまる子ちゃんの髪型はおかっぱだが、名刺の女の子はおさげと微妙に異なっている。 しかし、テイストはちびまる子ちゃんなので、名刺を受け取った台湾の人たちは皆、「ちびまる子ちゃん!」と大喜び。市職員が、原作者のさくらももこ氏の自画像と伝え、静岡がさくらももこ氏の出身地で、ちびまる子ちゃんの舞台にもなっていると説明すると、さらに盛り上がったという。
アジアで広く放映されているアニメ「ちびまる子ちゃん」だが、特に台湾での人気は根強いものがあるようで、最近は実写版にもなっている。静岡市では、海外から訪れた客人にとどまらず、県外から静岡を訪れた人にもさくらももこ氏のイラスト入り名刺を渡していて、シティプロモーション担当の市職員は、「親しみやすいイラストを通して静岡のイメージを県外や海外の方に認知していただいています」とその効果を話している。 イラストは、富士山や茶畑、桜えびにとどまらず、まぐろやおでん、大道芸やサッカー、模型などさまざまなバージョンがあり、その数は20種類近くにのぼっている。最近も、市の観光キャンペーンに合わせて、東海道をイメージした新たなバージョンが加わった。市担当者によると、市側からイメージを伝えてイラストを描いてもらっているそうなので、今後も新しいバージョンが増えていきそうだ。
市では、職員用名刺にとどまらず、贈答用としてイラスト入りメモ帳やティッシュ、ボールペン、クリアファイルなども作り、「静岡市はいいねぇ。」と銘打ったキャンペーンとして繰り広げている。移住体験ツアーではイラスト入りのタンブラーを新たに作り、参加者に渡したという。 なんとも贅沢なキャンペーンだが、これらイラスト入り名刺やグッズは、特定の人に配っているせいか、一般市民への認知度は今一つの印象。人口減少問題が話題になっている静岡市。強力なサポーターの協力のもと展開している「静岡市はいいねぇ。」キャンペーンに市民も巻き込んで、さらなる盛り上げを図ってみてはいかがだろうか?