ベテラン裁判官「痴漢冤罪で無罪はほぼ出ない」…検察の主張を鵜呑みにする「裁判所のヤバすぎる内部事情」
もしあなたが痴漢冤罪に巻き込まれたら
また、あなたが不幸にも痴漢冤罪に巻き込まれたとしよう。 いったん逮捕されたが最後、あなたは、弁護士との面会の時間も回数も限られたまま、延々と身柄を拘束されることになるだろう。 突然あなたを襲った恐怖の運命に、あなたは、狼狽し、絶望し、ただただ牢獄から出してもらいたいばかりに、時間を選ばない厳しい取調べから逃れたいばかりに、また、後から裁判で真実を訴えれば裁判官もきっとわかってくれるはずだと考えて、「はい、やりました」と言ってしまうかもしれない。 しかし、虚偽の自白をしてしまった場合にはもちろん、あなたが否認を貫いて公判に臨めるほどに強い人間であったとしても、あなたが無罪判決を勝ち得る可能性は、きわめて低い。 刑事系裁判官の判断の秤は、最初から検察官のほうに大きく傾いていることが多いからである。 『裁判官にとって「国民はただの記号にすぎない」…裁判所が「理念」を捨ててまで「正義を踏みにじるワケ」』へ続く 日本を震撼させた衝撃の名著『絶望の裁判所』から10年。元エリート判事にして法学の権威として知られる瀬木比呂志氏の新作、『現代日本人の法意識』が刊行されます。 「同性婚は認められるべきか?」「共同親権は適切か?」「冤罪を生み続ける『人質司法』はこのままでよいのか?」「死刑制度は許されるのか?」 これら難問を解き明かす共通の「鍵」は、日本人が意識していない自らの「法意識」にあります。法と社会、理論と実務を知り尽くした瀬木氏が日本人の深層心理に迫ります。
瀬木 比呂志(明治大学教授・元裁判官)