欧州各国、シリア人の難民申請審査を一時停止 アサド政権の崩壊受け
シリアのアサド政権崩壊を受け、ドイツや英国など欧州各国がシリア人の難民申請の審査を一時停止すると相次ぎ表明した。避難してきた国の安全状況などを踏まえて審査するが、シリア情勢が不透明で判断が難しいためだ。慎重な対応には、多くの難民を受け入れることへの不満が各国で高まっていることも影響しているとみられる。 【写真】ドイツの右翼政党に反対する声を上げる人々。「ナチスにノー」というプラカードも 欧州最大のシリア難民受け入れ国、ドイツの内務省の報道官は9日、シリア人の難民申請の審査を後回しにし、他国からの難民申請の審査を優先すると発表した。シリアの内戦激化を受けて2015年以降、多くの難民が欧州に逃げ、ドイツには97万人のシリア出身者が暮らす。今年も国別でシリアからの難民申請が最多で、全体の3割の約7万5千件。今回の審査停止で4万7千件以上が影響を受けるという。 欧州メディアによると、ドイツのほか、英国やイタリア、ノルウェー、デンマークなど少なくとも9カ国が同様に審査の一時停止を表明した。フランスの難民保護当局もシリア人からの難民申請の審査を一時的に停止する可能性があると表明した。未成年者を含む約700件が審査中だという。
朝日新聞社