今年で45周年!全43作品からファン投票で選ばれた6作品を一挙上映「映画ドラえもんまつり」の注目ポイントは?
2025年で45周年の節目を迎える「映画ドラえもん」シリーズ。その最新作となる『映画ドラえもん のび太の絵世界物語』(3月7日公開)に先駆け、これまで公開された全43作品のなかからファン投票で選ばれた6作品を期間限定上映する「映画ドラえもんまつり」が1月17日(金)よりスタートする。 【写真を見る】「映画ドラえもんまつり」では入場者全員にスペシャルステッカーのプレゼントも 1979年に放送がスタートしたテレビアニメ「ドラえもん」の劇場用長編作品として、翌年公開された『映画ドラえもん のび太の恐竜』(80)からスタートした「映画ドラえもん」シリーズ。恐竜がいる時代や宇宙、地球上にある人類未到の地など様々な場所を舞台に、のび太やドラえもんたちの大冒険と友情を描き、春休みの定番映画として定着し、2023年にはシリーズ累計観客動員数1億3000万人を突破。まさに「ドラえもん」を国民的アニメたらしめるシリーズとして、世代を超えて愛されつづけている。 全国の「ドラえもん」ファンが投票に参加し激戦の末に選ばれた上映作品は、2024年に亡くなった大山のぶ代、小原乃梨子らが声を務めていた時代の作品群から3本、2005年に交代した現声優陣の作品群から3本の計6作品。公開年の順番で紹介していこう。 ■『映画ドラえもん のび太と雲の王国』(92) 雲の上に天国があると言ったことで学校でからかわれてしまったのび太。そこでドラえもんは、「雲かためガス」を使って理想の国を作ることを提案する。ジャイアンやスネ夫やしずかちゃんたちも誘い楽しく遊ぶなか、ぶつかった山の頂上で一人の少年を救出。それをきっかけにドラえもんたちは、地上よりもはるかに発達した天上人の国と、ある計画の存在を知ることとなる。 キー坊やモアとドードー、ドンジャラ村のホイといった過去の短編エピソードに登場したキャラクターがゲストとして登場する本作は、環境問題という重要なテーマを扱い、中盤で見られる大洪水のシーンは当時の子どもたちに強烈なインパクトを与えた。大人も子どもも楽しめ、考えさせられるシリーズ随一の名作のひとつ。 ■『映画ドラえもん のび太と銀河超特急(エクスプレス)』(96) 22世紀で人気だというミステリートレインの切符を手に入れたドラえもん。裏山から出発する銀河超特急に乗り込んだ5人がたどり着いたのは、宇宙のはずれの星にある宇宙最大の遊園地「ドリーマーズランド」。それぞれアトラクションを楽しんでいるなか、謎の寄生生物ヤドリが襲来。ドラえもんたちは車掌や記者のボームと共に脱出を試みるのだが…。 宇宙や西部劇、忍者など藤子・F・不二雄作品ではおなじみの要素が満載の本作は、藤子の生前に公開された最後の作品としても知られている。列車内のシーンからワクワクし、“ベアリングロード”に憧れた子どもたちも少なくないだろう。テーマパークの華やかさと打ち捨てられた禁断の星の対比など、大人になってから改めて観ると深いテーマが随所に散りばめられている点も見逃せない。 ■『映画ドラえもん のび太のワンニャン時空伝』(04) 子犬を拾い、“イチ”と名付けて友情を育むのび太。そんなある日、のび太たちの前に一匹の野良ネコが迷い込み、しずかちゃんは空き地で捨てネコを発見。さらに山奥で無数の犬やネコが捨てられているのを知り、3億年前の世界に犬やネコの国を作ることに。必ず会いに来るとイチに約束するのび太だったが、トラブルに見舞われて3億年前から1000年経った時代にたどり着いてしまう。そこでイチによく似た少年ハチに出会うのだが、犬とネコの国に滅亡の危機が迫っていた。 「ドラえもん」ファンのなかでも人気の高い、てんとう虫コミックス22巻に収録の「のら犬『イチ』の国」を原案に作られた本作。大山、小原、野村道子、たてかべ和也、肝付兼太らレギュラー声優たちに加え、『映画ドラえもん のび太の海底鬼岩城』(83)からメガホンをとってきた芝山努監督が手掛けた最後の「ドラえもん」作品でもある。島谷ひとみが歌う主題歌「YUME日和」に乗せて描かれるエンディングのアニメーションまで必見! ■『映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団~はばたけ 天使たち~』(11) 夏の暑さで苛立っていたドラえもんを追いかけて北極にやってきたのび太は、そこで奇妙なボールを手に入れる。そのボールを持ち帰ってから、家の庭には次々とロボットの部品が出現。「おざしき釣り堀」を使って鏡面世界でロボットを組み立てるのび太とドラえもんは、巨大なロボットを“ザンダクロス”と命名。そんななか、不思議な少女リルルがのび太たちの前に現れることに。 シリーズ屈指の名作といわれる第7作『映画ドラえもん のび太と鉄人兵団』(86)を水田わさびら現在の声優陣でリメイクした本作。元の作品には登場しなかったオリジナルキャラクターのピッポが登場したり、リルルら鉄人兵団側のキャラクターの描き方に変化がみられるなど、25年という時代の流れを踏まえた改変ポイントが随所に見られる。オリジナル版とリメイク版を観比べてみるのもおすすめだ。 ■『映画ドラえもん のび太のひみつ道具博物館(ミュージアム)』(13) 昼寝をしていたドラえもんの鈴が、“怪盗DX”によって盗まれてしまう。「シャーロック・ホームズセット」を使い、未来にあるすべてのひみつ道具が展示された「ひみつ道具博物館」に鈴の手掛かりがあることが判明。のび太とドラえもんたち5人は未来へ向かい、その博物館を訪れるのだが思わぬハプニングに見舞われてしまう。さらに怪盗DXによって博物館のひみつ道具がいくつか盗まれてしまい…。 「シャーロック・ホームズセット」はてんとう虫コミックスの3巻に収録されたエピソードに登場するひみつ道具だが、本作のストーリーは完全オリジナル。ガイドのクルトの案内で博物館を回るシーンでは、「きこりの泉」や「カムカムキャット」など様々なひみつ道具が登場。それだけで「ドラえもん」ファンはワクワクすること間違いなし。また、ドラえもんが鈴にこだわる理由がわかる回想シーンは涙なしでは見られない。 ■『映画ドラえもん のび太と空の理想郷(ユートピア)』(23) 空に浮かぶ三日月型の島を見つけたのび太は、ドラえもんたちと一緒に「タイムツェッペリン」に乗り込んで“ユートピア(=理想郷)”を探す旅に出発。様々な時代の様々な場所をめぐってたどり着いたのは、誰もがパーフェクトになれるという夢のような楽園“パラダピア”。そこで出会ったパーフェクトネコ型ロボットのソーニャと仲良くなるのだが、この楽園には大きな秘密が隠されていた。 “空”への憧れという点で『のび太と雲の王国』を想起させるものがあり、“パーフェクト”と形容されるロボットの在り方という点については『のび太と鉄人兵団』や『映画ドラえもん のび太とロボット王国』(02)に通じつつも、時代に合わせた変化を感じることができる。脚本は数々の実写の話題作を手掛けてきた古沢良太が担当。近年の「映画ドラえもん」のなかでもひときわ深いテーマに触れた一本だ。 全国93劇場で上映される「映画ドラえもんまつり」は、週替わりで2作品ずつ上映(各1本立て/併映作品の上映はなし)。入場者全員プレゼントとして、上映される6作品のポスター画像をあしらった「『映画ドラえもんまつり』スペシャルステッカー」も配布される。詳しい上映劇場や上映スケジュールなどは特設ページをチェックしてほしい。 そして45周年記念作品となる「映画ドラえもん」最新作『映画ドラえもん のび太の絵世界物語』は、絵に描かれた壮大な中世ヨーロッパの世界を舞台にした完全オリジナルストーリー。絵のなかで出会った仲間たちと共に、ドラえもんやのび太が“幻の宝石”をめぐって強大な敵へと立ち向かっていく。どんな大冒険が待ち受けているのか、公開が待ちきれない! 今回紹介した「映画ドラえもんまつり」のほかにも、2月1日(土)から3月6日(木)まで東京・神保町にある神保町シアターでは「ドラえもん映画祭2025」が開催。こちらでは「映画ドラえもん」全43作品と、当時上映された併映作も一挙に上映。さらに2010年以前の作品は貴重な35mmフィルムで上映される。お近くの方は是非とも足を運んでみてはいかがだろうか。 45年という歳月を駆け抜けてきた「映画ドラえもん」シリーズ。この機会に過去の名作を振り返り、ドラえもんたちとの次なる冒険に備えよう! 文/久保田 和馬