プロ野球2024年「1イニングあたりの年俸」で一軍登板投手の“コスパ”を検証 1試合しか投げていない田中将大はワースト4位に
今季のプロ野球は平均年俸で12球団1位のソフトバンクや同2位の巨人を下したDeNA(同6位)が“下剋上”の日本一に輝いた。今季を振り返って、巨額年俸を手にしながらそれに見合う活躍をしなかった選手は誰なのか──年俸あたりのコスパを徹底検証した。【前後編の前編・投手編】 【一覧表】全一軍登板投手348人「1イニングあたりの年俸」を大公開! 給料が安く投球回数の多かった投手1位は巨人・井上温大、2位は中日・松木平優太
大減俸は避けられない田中将大
今季、一軍で登板した投手は348人、一軍出場のあった野手は319人。プロ野球を各種データから分析した『データ・ボール』などの著書があるライター・広尾晃氏協力のもと、各選手の年俸と成績から“コストパフォーマンス”を算出。投手と打者でランキング化した。まずは投手編だ。 「年俸1億円以上で一軍出場がなかった投手はロッテのフェルナンデス(27、年俸1億8000万円=推定、以下同)とソフトバンクの武田翔太(31、1億5000万円)で、この2人は“コスパ算出不能”で最悪。他の投手については、『登板1イニングあたりの年俸』を計算して順位をつけました」(以下、「 」内は広尾氏) ワースト10のなかで注目は4位の楽天・田中将大(36)。今季の年俸は2億6000万円だが、来季に向けてすでに野球協約で定められた減額制限(年俸1億円超なら40%)を超える減俸となる見込みだと報じられた。 「今季の登板はシーズン最終盤のわずか1試合。しかも5イニング(自責点4)で負け投手になりました。1イニングあたりの年俸は5200万円。日米通算200勝まであと3勝に迫り現役続行にこだわっているとされますが、大減俸は避けられないでしょう」
コストの高さが目立つベテラン勢
田中と同じ2億円超えプレーヤーでは、2勝6敗に終わった中日・大野雄大(36、37位)が1イニングあたり676万円、惜しまれながら今季限りで引退したソフトバンク・和田毅(43、32位)が同759万円とベテラン勢のコストの高さが目立った。そうしたなかでのワースト1位は中日・田島慎二(34)だ。 「中日一筋13年の経歴で、10月5日の引退試合で打者1人に対してだけ投げました。1イニングあたりの年俸が1億円を超えたのは田島だけです」 一方、投手でコスパが良かったほうに目を転じると目立つのが福島蓮(21)、金村尚真(24)ら日ハム勢。1イニングあたり約9万円で、マー君の500分の1以下というコスパの良さだ。 「福島は2021年の育成ドラフト1位、金村は2022年のドラフト2位と、いずれも新庄剛志監督の眼力で見出された若手です。1イニングあたり約11万円のDeNA・中川颯(26)はオリックスをクビになった選手ですが、DeNAがうまく掘り当てた。こうした目の付け所の良さが高コスパの選手を生み出します」 DeNAの中川は日本シリーズでも3試合に投げて打者9人をシャットアウト。ソフトバンクの高額年俸集団を手玉に取り、日本一に貢献した。 (後編「野手編」へ続く) ※週刊ポスト2024年11月22日号