当主水野繁樹さん（右）に教わりながら絵付けを体験する参加者＝多治見市虎渓山町、水月窯

　「志野」と「瀬戸黒」の重要無形文化財保持者（人間国宝）の陶芸家荒川豊蔵（1894～1985年）が開いた岐阜県多治見市虎渓山町の「水月窯」で、県内外から訪れた19人が窯の代表的な茶わんの絵付けを体験した。 　水月窯は、荒川が食器など一般家庭に向けた陶器を提供するため46年に築いた。日常での使用を意識しながらも、機械を使わない手作業の作陶を今日まで続けており、市無形文化財に指定されている。県現代陶芸美術館（同市東町）で11月17日まで開催中の「生誕130年荒川豊蔵展」（県現代陶芸美術館と岐阜新聞社、岐阜放送でつくる同展実行委員会主催）の関連イベントとして、絵付けの体験会が企画された。 　参加者は当主水野繁樹さん（75）の教えを受けながら、窯を代表する作品の一つの梅花（ばいか）文の絵付けに挑戦。指先に付けた顔料でくみ出し茶わんに六つの点を打ち、かわいらしい梅の花を表現した。筆やろくろで思い思いの図形を描く人もいた。器は焼成して11月ごろ参加者に贈られる。 　参加した女性（28）=愛知県江南市=は「簡単そうに見えて力加減が難しかった。普段使いしてみたい」と話した。