【休養学】「疲れがとれない」ときに、絶対にしてはいけない休み方とは?疲労は警告、「長時間睡眠」だけでは逆効果
「休むこと=なまけること」だと思い込んで罪悪感を抱き、かつては「疲労大国」と呼ばれた日本。その悪癖は現代でも依然として残っている。私たちは、なぜいつも疲れているのか。そんな疑問に、20年にわたり「休み方」を研究してきた「休養学」の専門家が、2回に分けて答える。前編は、休養の取り方の誤解を解く。 『休養学: あなたを疲れから救う』 (*)本稿は『休養学: あなたを疲れから救う』(片野秀樹著、東洋経済新報社)の一部を抜粋・再編集したものです。 >>後編:【休養学】そもそも疲労とは何か? なめてはいけない病気のサイン、回復のために必要な栄養素とは 「いつも体が重い」 「寝ても寝てもだるく、疲れがとれない」 「会社に行くだけでヘトヘトになる」 「休みの日に何をしていいかわからない。結局、一日じゅうゴロゴロしている」 「週末に寝だめをすると、休み明けはかえってぐったりしてしまう」 あなたはこんな悩みを抱えていませんか? 毎日、仕事や家事で忙しく、ゆっくり休みたいのに休めない。有給休暇はあるけれど、同僚は誰もとらないし、上司がイヤな顔をするので申請しづらい。疲れた体を引きずって出勤するものの、生あくびばかり出て仕事に集中できない。だから能率が落ちて、ますます帰りが遅くなる……。 こんな人は、おそらく日本中に大勢いるのではないでしょうか。 「疲れたら休む」という当たり前のことができないなんて、考えてみればおかしな話です。そもそも日本人の問題は……、おっと、その前に自己紹介をしておきましょう。
■ 今まで存在しなかった学問=「休養学」を提唱 私は一般社団法人日本リカバリー協会代表理事であり、「休養学」という学問を提唱している片野秀樹といいます。世界中すべてを調べたわけではありませんが、休養学と銘打った学問は、海外を含めてまだほかにないはずです。 「疲労」は全人類にとって共通の問題ですが、特に、日本はかつて疲労大国と呼ばれ、自分を犠牲にして働くことが美徳だと思われていました。現在でもその傾向はあり、多くの人が「休むこと=なまけること」だと捉え、休むことに罪悪感を抱いています。これは大問題だと私はつねづね思っているのです。 健康づくりの三大要素は「栄養・運動・休養」です。この3つのうち、栄養と運動に関しては学問的な体系化が進んでおり、子どもに限らず大人も教育を受ける機会があります。運動については小学校から体育の授業がありますし、体育大学もあります。運動生理学やスポーツ科学など、スポーツに関連する学問もさかんに研究されています。 栄養も同じで、小学生のときから家庭科で栄養の基礎について学びますし、栄養学を専門に学べる大学もあります。 ところが休養だけが、学問として確立していません。おそらく「ただじっとしていればいいのだから、休むことは誰にでもできる」「わざわざ学ぶような話ではない」と思われているからでしょう。