新年度、環境が大きく変化したという人も多いと思いますが、 子供たちも例外ではありません。 入園、入学、進級など、楽しみな一方で、子供の気持ちが最も不安定になるタイミングでもあります。 子供のストレスサインや対応について、専門の医師に聞きました。 　 福井愛育病院　子どものこころの診療科・春木伸一医師： 「新しい経験に対する不安がストレスになる。例えば小学校入学の場合、新しい学校という場所を経験しなければならない。それから、対人関係の問題。友達関係とか、学校の先生との関係をうまくやっていかなければならない。そういうことがストレスの原因になりやすい」 　 ストレスを感じた子供のサインは、身体面・心理面・行動面の3つに以下のような変化が現れるといいます。 〈身体面〉 頭痛とか腹痛とか、食欲がなくなる、吐き気がする、といった症状が目立ってくる。癖の一種だが、髪の毛を抜いてしまう、爪を噛んでしまう、そういうような行動も見られる。 〈心理面〉落ち込むということもあるが、子供の場合はむしろイライラするということが出てくる。 〈行動面〉睡眠、夜なかなか眠れないとか、朝起きられないとか、そういう行動面の問題。学校に行くのが嫌と言い出す。渋ったりする、行動面の問題も出やすい。 　　 　 どのようなストレスサインが現れるかは、子供によって様々です。春木医師は、普段から子供の状態をきちんと観察する習慣が必要だと話します。新しい兆候が見られた場合は、強圧的にではなく、子供が話してくれるのをじっと待つ姿勢を貫くことが大事だということです。話を聞くことでストレスの原因を把握し、いじめの場合には早急に対応する必要があるため、変化を見逃さないことが重要です。 　 福井愛育病院　子どものこころの診療科・春木伸一医師： 「家庭が子供にとって安全安心な場所にしておく。何を言っても受け入れてもらえるし、ここにいていいんだ、そういう風に分からせてあげることが大事」 ただし、子どもの変化が、1カ月以上続く場合は、早めに小児科を受診してほしいと話します。 　 福井愛育病院　子どものこころの診療科・春木伸一医師： 「小児科受診を考えた方が良いのは、心身症という概念があるから。元々は体の病気だが、心理的なもの、社会的なものがすごく影響を与える。例えば、お腹が痛い、下痢をする、便秘をするなどの場合、「過敏性腸症候群」という心身症。これに対してはある程度薬を投与したり、子供の心の相談に乗ったりと治療法ができているので、ぜひ小児科を受診してもらいたい」 春木医師は、気持ちの不安定さが即病気というわけではないが、医学モデルとしての「早期発見・早期治療」に近い考え方だと話していました。ストレスサインの出方は様々。家ではいつも通りだけど、学校での行動などに変化が現れるという子供もいるそうなので、学校ともよく話をしておくことも大切です。