輪島・中屋トンネル付近の土砂災害、能登半島地震が影響か…今後の雨でさらに崩れる恐れ
9月に能登半島を襲った大雨によって、石川県輪島市の中屋トンネル付近で起きた土砂災害は、1月の能登半島地震で山の斜面の一部が崩れたことが影響した可能性があることが、専門家の調査でわかった。今後の雨で、再び崩れる恐れがあるという。
当時、国道249号の中屋トンネルでは、地震で崩れた天井などの復旧工事を行っていた。輪島市では9月21日午前、この地点としては観測史上最多となる1時間あたり121ミリの雨が降り、トンネルの周囲の斜面が崩れた。国道付近にいた作業員と住民の2人が犠牲になった。
読売新聞は10月12日、トンネル周辺を本社機から取材した。山頂近くから国道に向かって、山肌があちこちで200メートル程度にわたって崩れていた。トンネルに続く国道は、土砂で寸断されていた。
同乗した東京電機大の安田進名誉教授(地盤工学)が分析したところ、斜面の一部は1月の地震直後に崩れ、大雨でその範囲が拡大していた。安田氏は「地震で不安定になった土砂や樹木が斜面にとどまっていた可能性がある。急激な雨で斜面が大量の水を含んで崩壊したのだろう」と指摘する。
京都大の竹林洋史准教授(砂防工学)は、斜面崩壊に続き、土砂や石が水と一体になって押し流される土石流が発生したとみている。雨量や斜面の角度などから、土石流の発生状況を推定したところ、速度は秒速5メートル程度で、斜面崩壊の発生から道路到達までわずか28秒だった。竹林准教授は「深さは1・3メートル程度だったとみられ、人が容易に流されてしまう状況だった」と話している。