なぜクロースは絶頂期の34歳での電撃引退を決断したのか…ドイツ代表として戦うユーロ2024が最後の舞台
レアル・マドリードに所属するドイツ代表MFトニ・クロース(34)が21日、自身のインスタグラムを更新し、6月に開催されるユーロ2024をもって現役を引退すると明かした。レアル・マドリードで10年目を迎えた今シーズンも主軸を担ったクロースの絶頂期の中での引退発表は、関係者やファンに衝撃を与えた。なぜクロースは引退を決意したのか。 【決定的瞬間】カタール戦の延長での劇的決勝ゴール
レジェンドの決断が世界中のサッカー関係者やファンに衝撃を与えた。 中盤の底から正確無比なパスを味方へ供給し続けるプレースタイルから、いつしか「メトロノーム」や「精密機械」と呼ばれたクロースの電撃引退。ドイツ紙『Bild』は「クロースが引退を表明したインスタグラムの投稿には、わずか1時間で150万人から『いいね』がつけられた」と、計り知れないほど大きな影響を与えたと伝えた。 バイエルン・ミュンヘンから2014年夏にレアル・マドリードへ移籍したクロースは、10年目の今シーズンも32試合に出場して1ゴール8アシストをマーク。2シーズンぶり36度目のラ・リーガ1部制覇に貢献したなかで、日本時間21日夜に更新したインスタグラムで引退に至った理由をスペイン語と英語の両方で綴っている。 「レアル・マドリードでの成功に満ちたエキサイティングな10年間を、僕は絶対に忘れない。いつも言ってきたように、レアル・マドリードは僕にとって最後のクラブであり、これからもそうあり続ける。自分の頭と心のなかでこの決断にふさわしいタイミングを見つけられて嬉しく思うし、誇りにも思う。僕は常にパフォーマンスがピークのときに、キャリアを終えようと考えてきた。同時にこの決断は、僕の現役サッカー選手としてのキャリアが今夏のユーロ2024をもって終了することも意味する」 クロースが抱いてきた、引き際の美学を貫いた引退と言っていい。 たとえばレアル・マドリードとの契約を、2022年6月まで延長した2016年の秋。クロースは「トップパフォーマンスを維持した状態のときが、現役を引退する正しいタイミングだと考えている」と言及。その後も契約を延長するたびに「38歳になるころには、もうプレーしていないだろうね」と話してきた。 もっとも、ドイツ版の『Sky Sports』はクロースが一時は契約の更新を視野に入れていたと、電撃引退を伝える記事のなかで言及している。 「クロースは3月の段階で、2025年6月までの契約延長を準備していた。クロースのマネジメント担当者はレアル・マドリード側へポジティブなシグナルを送り、レアル・マドリード側もまた契約延長を期待していた。しかし、クロースは古巣バイエルン・ミュンヘンとのチャンピオンズリーグ準決勝が終わるまで時間がほしいと考えを改め始めた。最終的には契約延長が見送られ、キャリアを終えることが決まった」 カディスに3-0で快勝した今月4日にラ・リーガ1部王座を奪回。4日後の8日にはバイエルン・ミュンヘンとのチャンピオンズリーグ準決勝セカンドレグを2-1で制し、ファーストレグとの合計4-3で2シーズンぶりの決勝進出も決めた。 現地時間6月1日に聖地ウェンブリー・スタジアムで、ブンデスリーガ1部のボルシア・ドルトムントと対峙するチャンピオンズリーグ決勝。そして、同14日に開幕する母国開催のユーロ2024。最愛の家族とすごす時間を大事にしたいと語ってきたクロースに、キャリアの最後にふさわしい舞台が整ったと引退を決意させたのだろう。 クロースは自身のポッドキャスト『Einfach mal Luppen』でも「長い間、本当に長い間、僕は考えてきた」と引退を決めた理由を音声でもファンへ届けている。