パタゴニアがZ世代50人に合宿を開催。高校生からは「今はアクティビストでいることがスタンダート」の声も
5月のGW最終日、横浜市内の森の中、約50人のZ世代が集まった。 ここでは、2日間にわたり社会問題にまつわる講義とワークショップ「ユース・アクティビズム・スクール」が開かれている。 【全画像をみる】パタゴニアがZ世代50人に合宿を開催。高校生からは「今はアクティビストでいることがスタンダート」の声も どのプログラムでも、その眼差しは真剣だ。質疑応答の時間に入ると、スピーカーには時間いっぱいまで質問が投げかけられる。
「毎日服選ぶのって面倒じゃない?」
主催するのは、アウトドアブランドでお馴染みのパタゴニア。若者団体「NO YOUTH NO JAPAN」と共同でプログラムの策定にあたった。 NHKで数々のドキュメンタリー番組を制作してきたプロデューサー・堅達京子さんの講演を始めとする気候変動にまつわるトピックから、劇作家・演出家の平田オリザさんによる演技のワークショップまで、その内容も盛りだくさんだ。 参加費は無料。北海道から長崎まで全国16都道府県から参加があったが、交通費も支給される。 最終日の午後には、TikTokで社会課題を面白く発信する「RICE MEDIA」の中心メンバー・糸井明日香さんが登壇した。 社会課題に対するアクションの中でも、環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんのような「怒り」も一つの手段となりうる。一方、RICE MEDIAの動画では、面白おかしく伝えることで、いかに共感を得られるコンテンツにするかを大事にしているという。 さっそく、糸井さんから渡された1枚の紙に、今気になっていることについて、ターゲットと伝えたい内容を書き出す参加者たち。 さらに、それを共感できるものにしていくにはどうしたらいいのかを考えて、グループで共有していく。 「『服をたくさん持つな』って言うんじゃなくて、『毎日服選ぶのって面倒じゃない?』みたいに、メリットを押し出していくのはどうだろう」(参加者の声)
どんなZ世代が集まった?
「何かやりたいと思った時に、『この部分だったらできるよ』とか、 『ここらへんに詳しい実際友達いるよ』とか、このメンバーであれば何かできる気がする。 ここで手伝ってくれる人と出会って、皆さんが社会を変えることができたらいいなと思っています」 そう話すのは、NO YOUTH NO JAPAN代表の能條桃子さん。 2019年の参議院選挙をきっかけにSNSを中心に団体を立ち上げた当初、能條さんも参加者と同じ学生だった。 GWに泊まり込みのプログラムに参加するZ世代となると、環境意識のかなり高いイメージを持つだろう。確かに、ここには「何かしら社会課題に関心のある」Z世代が集まってきた。 だが、能條さんのような学生で実際にアクションを起こせている人ばかりではない。 日常的にデモやボランティアに参加する子から、スノーボードやサーフィンなど自然好きな子まで関心の度合いもベクトルも異なる。 高校3年生のCさんは、先生の紹介がきっかけで神戸から参加した。環境系のトピックに関心のある子たちが集まる中、彼女は高校の自主研究からフェミニズムに興味を持ったという。 「トピックは違えど、フェミニズムも同じアクション。例えば、クラスにいる人たちにどう理解してもらえるんだろうか……と悩むことも多いんです。その方法論について知りたくてここまで来ました」 長崎出身の大学生のMさんの生まれは、五島列島。幼い頃から身近にある海から環境問題に関心を持った。将来は教育者を目指す。 「大学生になって、環境系の講演を聞いても、その机にはペットボトルが用意されてることにずっとモヤモヤして……。 確かに、地元でも地域単位でごみ拾いの活動があって、海をきれいにする意識はずっとあった。 でも、島では周りの大人たちも含め、それを発信するという発想はなかったですね」 「社会課題の知識はほぼない」と話す大学生のSさんは、インフルエンサー・Kemioさんの発信がきっかけで、興味を持ち始めたタイミングで参加した。InstagramでフォローしていたというNo Youth No Japanのアカウントを通じて応募したそうだ。 「環境問題については、本当に興味があるくらい……他の子達と違って自然が好きでもないし、強いていうなら散歩が好きなくらいだし(笑)。 でも、授業で『環境問題がヤバい」ってことは聞いていて、だんだん危機感を持ち始めました。 でも、いざ周りと話してみると、『めんどくさい』とか『分からない』って遮断されちゃうことも多いですね……」